記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/10/6 記事改定日: 2018/4/23
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
更年期障害の典型的な症状に、ホットフラッシュやイライラ、そして「めまい」があります。ただ、なぜ更年期になるとめまいが起きるのでしょうか?うまく対処するにはどうすればいいのでしょうか?
普段、卵巣は脳の視床下部と下垂体からの指令を受け、女性ホルモンを分泌していますが、更年期に突入すると、指令を出しても卵巣から女性ホルモンが分泌されなくなります。そのため視床下部は混乱し、視床下部が司る自律神経も乱れ、血管や血圧をうまくコントロールできなくなります。
更年期障害では、この影響でめまいが起きると考えられています。これに睡眠不足やストレスが重なると、さらにめまいが発生しやすくなります。
なお、メニエール病や中耳炎、内耳炎などの耳鼻科疾患、脳血管障害や脳腫瘍といった中枢系の病気によってめまいが起きることもあるので、まずは病院で検査を受けることをおすすめします。
http://w-health.jp/climacterium_trouble/hot_flash/
http://w-health.jp/climacterium_trouble/dizzy/
更年期障害のめまいは、多くの場合「浮動性めまい」です。体がふわふわと浮いて、揺れているような感覚のめまいになります。ほかにも、天井や周りの景色がぐるぐると回ってみえる「回転性めまい」のケースも少なくありません。この回転性めまいの場合は、吐き気を伴うことがあります。
更年期障害によるめまいに対しては、鎮暈剤(ちんうんざい。めまい症状を改善する薬)やビタミンB12、利尿剤などを処方し、経過観察をするのが一般的です。
更年期特有のめまいや吐き気には、メイロン®などのめまい止めや、プリンペラン®などの吐き気止めが使用されます。多くは飲み薬が使われますが、症状がひどい場合には点滴で投与することもあります。
しかし、これらの投薬は更年期障害を改善するためのものではなく、あくまでも症状の一つを改善するための対症療法です。このため、めまいや吐き気の改善でしかなく、体質の改善にも効果が期待できる当帰芍薬散や桂枝茯苓丸などの漢方薬が積極的に使用されることがあります。
めまいはストレスや睡眠不足によるところも大きいため、たっぷり睡眠をとったり、ゆっくりお風呂に浸かったり、ヨガをしたり、マッサージを受けたりといったリラックス療法も、症状の改善に効果的とされています。
更年期のめまいや吐き気によいツボにはいくつかありますが、一般的にすすめられているのは、耳周囲と手のツボです。
耳周囲のツボは、両耳の後ろにある出っ張った骨の下のくぼみの「完骨」、両耳の下にあるくぼみの「翳風」が有名です。また、手の甲には手首から指三本分の位置にある「外関」もめまいに効果があります。
更年期のめまいや吐き気は、これらの対処によって症状が大幅に改善することがあります。しかし、めまいは更年期だけでなく、頭や耳の病気である可能性も否定できません。これらの病気は適切な治療をしないと重大な後遺症を残すことがありますので、めまいが生じたときには更年期障害の症状と決めつけず、必ず病院を受診して診察・検査を受けることをおすすめします。
更年期のめまいには、女性ホルモンと自律神経の乱れが関連していると考えられています。ただ、他の病気によってめまいが発生する可能性もあるので、ご紹介したセルフケアを試しても症状が緩和されない場合は、無理せず専門の医療機関を受診するようにしてください。
原因が更年期によるものとはっきりした場合は、病院での治療とともにセルフケアを組み合わせながら更年期を乗り越えましょう。