記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/11 記事改定日: 2018/8/9
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
心臓に雑音と聞くと、心臓に何か重大な問題があるのではと不安になってしまう人も多いでしょう。しかし、心雑音があったからといって必ずしも心臓に病気があると決まったわけではありません。
ここでは、心雑音の原因について解説していきます。
心雑音には、心臓が収縮するときに発生する「収縮期雑音」と拡張するときに発生する「拡張期雑音」、心臓を覆う心膜に摩擦が起こり、それが雑音として聞こえる「心膜摩擦音」などがあります。
心臓は生命維持に最も重要な役割を果たしている臓器です。そこから雑音がすると指摘されれば、何か生死にかかわる重大な疾患があるのではと心配してしまうのも当然かもしれません。
ただ、心臓の雑音のほとんどは血液が心臓の血管や弁を通過するときに起こる流れの偏りによって生じる微弱な音であり、重大な病気が原因ではないことのほうが多いでしょう。小児から思春期にかけての人に多い胸部左上方から聞こえる音は、健康な人でも生じやすいといわれています。
医師から精密な検査が必要と言われた場合は早めに検査を受けるべきですが、とくに問題がないと言われた場合や経過観察と言われた場合は、過度に心配する必要はないでしょう。
ただし、医師から検査の指示をされた場合は必ず従いましょう。
心雑音を引き起こす病気には次のようなものが挙げられます。
心雑音は健康に問題がない場合でも生じることがありますが、上記のように命に関わる病気が原因になることもあるので、検査の指示をされた場合はできるだけ早く検査を受けましょう。
赤ちゃんの心雑音の大半は「機能性心雑音」という全く心配のないものです。これは、赤ちゃんは脈拍が成人よりも早いため、心臓から血液を送り出す力が強く、大動脈内で若干の乱流が生じることなどが原因と考えられています。
機能性心雑音は成長するにつれて消えていくものですので、あまり心配する必要はないでしょう。
ただし、赤ちゃんの心雑音には、先天性心疾患が背景にあることも少なくありません。赤ちゃんの100人に1人は何らかの先天性心疾患を発症しているとされており、非常に頻度の高い病気です。
先天性心疾患には様々な種類がありまずが、最も多いものは心室に穴が開いている心室中隔欠損症で、その他にも心房中隔欠損症、肺動脈狭窄症、動脈管開存症、ファロー四徴症などがあります。
赤ちゃんの先天性心疾患は、生後すぐに治療が必要となるケースもありますが、心室中隔欠損症や心房中隔欠損症は成長するにつれて心臓の穴が塞がることもあります。先天性心疾患のすべてが大きな治療を必要とするわけではなく、定期的な経過観察のみで健康な子と何ら変わりない生活を送ることができる場合もあります。
検診での心雑音から先天性心疾患が発見された場合でも過度に不安にならないようして、担当医とよく相談しながら治療を進めていきましょう。
心雑音の大半は問題のないものであり、治療の必要がないことも多いといわれています。医師から指摘されていないのであれば、過度に心配しないようにしてください。
ただし、心臓弁膜症などの心臓の病気や、重度の貧血、甲状腺機能亢進症など何らかの病気で心雑音が起こることも当然あります。このようなときは専門的な治療が必要になるので、必ず医師の指示に従い、精密検査が必要と言われたときはすぐに精密検査を受けましょう。