記事監修医師
日本赤十字社医療センター、血液内科
岡塚 貴世志 先生
2017/11/2 記事改定日: 2018/4/5
記事改定回数:1回
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、血液内科
岡塚 貴世志 先生
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
頭がズキズキしたり、体がだるく感じたり、目まいを起こしたりといった症状を引き起こす貧血。
貧血の多くは体内の鉄分不足が原因出起こる「鉄欠乏性貧血」ですが、中には遺伝や特定の疾患が原因になっている場合もあります。
この記事で貧血の原因を詳しく見ていきましょう。
貧血は何らかの疾患によって引き起こされている可能性があります。
病気による出血が貧血の原因なっている場合は、隠れている病気の治療を行う必要があります。
貧血の原因となる代表的な疾患は以下の通りです。
胃潰瘍は胃壁が胃酸で傷つけられた状態のことです。胃潰瘍は胃壁を出血させ、消化管出血につながります。これが原因で貧血になる可能性があります。胃潰瘍がゆっくりと進行すると自覚症状がない場合もあります。
胃がんや大腸がんが原因で貧血を起こしていた症例がいくつか確認されています。貧血だからといってすぐにがんの心配をする必要はありませんが、60歳以上の方の場合は念のため医師に相談することをおすすめします。
慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎症が進行し、慢性腎不全になると吐き気、皮膚のかゆみ、頭が重い、貧血、食欲不振といった症状があらわれます。また、腎臓でつくられる、赤血球をつくり出すためのホルモンが欠乏して貧血が起こります。
白血病になると、異常な白血球細胞が増えることで正常な赤血球や血を止める血小板が減少して出血しやすくなります。そのため、動悸や息切れをともなった極度な貧血症状が起きることがあります。
女性に多い貧血は鉄欠乏性貧血です。その原因は毎月の月経や子宮筋腫、子宮内膜症などの女性特有の疾患であることが多いですが、食生活での鉄分の摂取量が少ないことや、消化器系の潰瘍や痔などによる出血が原因になることもあります。
頻繁に貧血になる場合は特に、我慢せずに病院を受診するようにしましょう。
妊娠によって体内の鉄分が優先的に胎児の発育や胎盤の機能維持に使われ、出産後には赤ちゃんに必要な鉄分が母乳から補給されるために、妊娠中や授乳期には母体に鉄分不足になって貧血を引き起こしやすくなります。
産前産後の貧血は母体にも胎児にも影響を及ぼすことがあるので、食生活の改善や鉄剤などで早めに対処することが重要です。
男性も貧血になることはありますが、男性が貧血になる場合は「鉄欠乏性貧血」ではなく、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、大腸がん、大腸ポリープなどによって体内で出血が起こることが原因で貧血が引き起こされている可能性が高いです。
急に貧血が起きたり血便がみられている場合には、早急に病院で診察を受けてください。
ストレスによって胃腸の機能が低下して鉄が吸収されにくくなったり、女性の場合はストレスによってホルモンバランスが乱れて生理の出血量が多くなったり・・・ストレスは間接的な要因となって貧血の原因になる可能性があります。
先述の通り貧血の原因は様々ですが、食生活の偏りが大きく関わっています。
鉄分を補給することはもちろん、たんぱく質や鉄分の吸収を助けるビタミンCを中心に、バランスの良い食事をとるよう心がけましょう。
鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄がありますが、ヘム鉄の体への吸収率は10~20%・非ヘム鉄の吸収率は1~6%と差があります。
そのため、鉄分を効率良く摂取するにはヘム鉄に加えて非ヘム鉄をとるときには鉄分の吸収を助けるじゃがいも、ブロッコリー、グレープフルーツなどのビタミンCやクエン酸を一緒にとることがポイントです。
貧血の中には、先天的な赤血球やヘモグロビンの異常によって引き起こされるものもあります。
たとえば、「溶血性貧血」(先天性と後天性があります)や「遺伝性鉄芽球性貧血」は遺伝的な要因によって発症する代表的な貧血です。
貧血の主な原因は赤血球の不足・欠損・失血などですが、遺伝などのように自分ではコントロールできないことが要因になっている場合があります。また、治療が必要な場合もありますし、貧血改善につながる食事のアドバイスをしてもらえたり、鉄剤など必要な薬を処方してもらえます。
貧血は胃潰瘍などの疾患を原因としている場合もあるので、たかが貧血と思わずに、早めに医師の診察を受けましょう。