記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
若年性特発性関節炎は16歳未満で発症する原因不明の慢性関節炎のことで、以前は若年性関節リウマチとも呼ばれていました。
この記事では、若年性特発性関節炎の症状・原因・治療法をご紹介します。
若年性特発性関節炎とは、16歳未満で発症する原因不明の慢性関節炎のことです。
「若年性関節リウマチ」とも呼ばれていましたが、現在は「若年性特発性関節炎(JIA)」という呼び名で統一されています。
症状によって全身型と関節型に分類され、関節型はさらに少関節型と多関節型に分かれます。いずれの場合も痛みの他に赤み・腫れ・熱をもつ・患部を動かしにくくなるなどの症状がみられます。
症状は若年性特発性関節炎の種類によって異なります。
どのような症状があるのかを、タイプ別に見ていきましょう。
主な症状は、弛張熱(しちょうねつ:1日の中で高熱と全く熱のない状態が交互に起きる、又は体温の高低差が1度以上あること)、胸を保護する胸膜や心臓を覆う心膜の炎症、肝臓と脾臓が必要以上に大きくなってしまう肝脾腫(かんひしゅ)などです。
また、コントロールできない発熱やリンパ節の腫れ、肝脾腫などを併発する、「マクロファージ活性化症候群(MAS)」という重篤な合併症を招くリスクがあります。
少関節炎があらわれるのは4ヶ所以下で、主にひざや足首などの大きな関節に炎症がみられます。
適切な治療をすれば関節の機能には問題がないことが多いです。ただし、ぶどう膜炎という目の病気を併発する可能性があるので、定期的に眼科検診を受ける必要があります。
多関節型の場合は、5ヶ所以上の関節に炎症が左右同じ場所で起こることが多いです。関節痛以外にも、微熱、倦怠感、食欲不振などの全身症状がみられることがあります。
詳しい発症原因はいまのところ明確になっていません。
しかし、多関節型と少関節型とでは病因や病態は異なるものの、若年性特発性関節炎も関節リウマチと同じように自己免疫の異常が関係していると考えられています。
また、遺伝的要素やウイルス感染、ストレス、外傷なども、若年性特発性関節炎を発症させる要因とする説もあります。
医師の判断や病状によって異なりますが、薬剤投与をメインとした治療が行われることが多いです。全身型の場合は全身症状を和らげる治療に、関節型の場合には関節炎に対する治療に重点が置かれます。
全身型には副腎皮質ホルモン(ステロイド)薬を使用して、発熱などの全身症状を可能な限り抑えます。
症状が進行している場合には免疫抑制薬や抗リウマチ薬を同時に投与し、それでも改善がみられないときは生物学的製剤(生物が産み出すタンパク質を利用して作られた薬剤)を使う方法が一般的です。
関節型の治療には非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)やメトトレキサート(MTX)を用いた治療が行われます。加えて、少量のステロイド薬や他の抗リウマチ薬(DMARD)、免疫抑制薬が使われることもありますが、改善がみられない多関節型には生物学的製剤が使用される場合が多いです。
若年性特発性関節炎は、放置していると関節破壊が進んで、関節としての機能が果たせなくなるまでに悪化する可能性があります。
気になる症状があれば、できるだけ早く病院で検査を受けるようにしましょう。