記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/10/18
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
小さい字が見えにくく読書が進まなかったり、目を使うとすぐに疲れを感じたりする、そんな辛い老眼の症状でお悩みではないですか?老眼は、適切な治療を受ければ改善が期待できる症状です。以降で老眼の治療法をご紹介していきます。
老眼とは、主に近いところが見えにくくなる症状のことです。症状から近視と似ていますが、老眼は老化現象のひとつで、個人差はあるものの40歳前後から始まることが多いです。
目の老化現象である老眼は近視などとは関係ないもので、目を酷使する機会が増えているため子供や若い人にも増加している傾向にあります。
老眼の原因としてまず挙げられるのは、加齢による影響です。私たちの目には水晶体があり、この水晶体は近くを見る時には厚くなり、遠くを見る時には薄くなって調整を行いますが、年齢を重ねるとこの調節ができなくなってしまうことが老眼の原因になります。
もうひとつの原因は目の酷使です。例えば、スマートフォンやパソコン、テレビを見続けると、水晶体の厚さを調節する毛様体筋に負担がかかって衰え、老眼と同様の症状が起こることにつながります。特にスマートフォンは、長時間使用することで毛様体筋に負担をかけてしまいます。さらにパソコンなどの強い光は、目に入る光量を抑える虹彩筋にも負担をかけることがあります。
老眼が疑われる初期症状には、「遠くはよく見えるのに、近くがよく見えなくて疲れる」、「小さい字は少し離してみると見えやすくなる」などです。老眼の症状には目の疲れも多いのですが、それは無理をしてピントを併せようとするために起こります。
また、日常生活の中でも様々なところでも症状があらわれていることがあります。「文庫本など本を読むのが辛い」、「暗いところは文字が読みづらい」、「化粧品や薬の効能書きを読むのが苦労する」、「近視の眼鏡を外したほうが文字が読みやすい」、「パソコンなどで仕事をすると目が疲れたり、肩が凝ったりする」などの症状です。
近年は40歳を過ぎても若々しい雰囲気の人が多く、老眼という年齢を感じることには縁遠いイメージがあり、40代で老眼用の眼鏡をかけることに抵抗がある人も少なくありません。ただ、見えない状態で放置してしまうと症状が急速に進行して視力低下を招くこともあり、早めに対処することは目のためにも大切なことです。
老眼は眼鏡をかける以外にも治療して改善する方法もあります。例えば、白内障の治療と同様に多焦点眼内レンズを入れることで、遠くと近くの両方にピントがあう効果が期待できます。老眼になる世代は白内障になっている可能性もあるので、白内障の手術をする際に多焦点レンズを選択するのも有効です。
また、レーシックも効果的な治療方法です。モノビジョンレーシックは片目は遠く、片目は近くが見やすくなるモノビジョンの状態にすることで、遠近の両方が見えるようにする治療法です。
他にもドーナツ状の薄いシートを利き目では無いほうに挿入し、ピンホール効果により近くを見えやすくする治療法や、高周波のラジオ波を角膜に照射することで角膜のカーブを変えることで近くを見えやすくする治療法などがあるので、専門医と相談しつつ、ご自身に合った治療方法を選択してください。
老眼は放置すると進行して、見えにくいという状態だけではなく、眼精疲労や肩こり、頭痛など体に不調をもたらすことがあります。老眼自体を予防するのは難しいですが、治療や矯正する方法はあるので、お悩みであれば専門医にご相談ください。