記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/23 記事改定日: 2019/1/16
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
心房細動は無症状のこともありますが、長期化すると合併症として脳梗塞を発症したり、心不全に陥ったりすることもある危険な病気です。
心房細動の治療の目的には、大きく2つのことが挙げられますが、どれはいったいどんなことなのでしょうか。
治療内容とあわせて詳しく説明していきます。
心房細動は、心臓の一部である心房が1分間に450回から600回の頻度で不規則に興奮することによって、興奮波が房室結節と呼ばれる部分に無秩序に伝わることによって不整脈を引き起こす病気のことです。
心房細動には強い動悸や胸部違和感という前駆症状があり、脈拍の不規則性と頻脈が症状として現れます。
また、心房細動が長期化することで血栓ができてしまうと脳梗塞を起こすリスクがあるので注意が必要です。また放置して悪化してしまうと心不全を引き起こし死に至る恐れもあります。
治療の主な目的は
の2つです。
心拍のリズムを正常化させるためには、まず心電図で心房細動を示す波形から不整脈の有無をわりだしていく必要があります。
心臓の鼓動のリズムは薬物療法を中心に改善していきます。このとき不整脈の再発予防の薬を内服する必要があったり、発作時のための薬を処方されることがあります。
心房細動が長期化している場合は電気的除細動という電気ショックで細動を抑える処置が行われることもあります。
心房細動が原因で血栓ができ、それが脳に到達してしまうと脳梗塞という重大な病気を引き起こすことがあります。
脳梗塞が起こると死に至る危険性があり、命を取りとめても麻痺などの後遺症が残る危険性があるのです。
そのため、脳梗塞の予防のための「血栓を防ぐ治療」も必要になってきます。
脳梗塞の予防のためには
などの生活の改善が必要です。
また、血栓ができにくくするための薬の治療が行われることもあります。
心房細動は薬物療法で症状の改善や合併症の予防をすることができます。主に使用される薬剤には次のようなものがあります。
心拍数の調節を行うことが目的で使用される薬剤です。特に合併症がない心房細動に対してはβ遮断薬や非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬が使用されますが、心不全などを合併している場合には、ジゴシンやアミオダロンなどが使用されることもあります。
また、これらの薬剤を用いても頻拍などが改善しない場合には、根本的に心房細動を治すカテーテルアブレーションなどの治療が考慮されるようになります。
心房細動の最も恐ろしい合併症である「心原性脳塞栓症」を予防するため、血液を固まりにくくする薬剤です。作用機序によってワーファリンやプラビックスなど様々なタイプのものがありますが、コスト面や副作用などを加味してそれぞれに合った薬剤が選択されます。
薬以外の心房細動の治療法としては、上記でも説明した電気ショックを利用した方法があります。
また、アブレーション治療といわれる治療法が使われることもあります。
アブレーション治療では、局所麻酔をしたあとにカテーテル(直径2mm位の管)を心臓内に挿入して、不整脈のもととなる異常な部分に高周波の電流を流して焼灼(しょうしゃく:患部を焼くこと)して、心臓の鼓動のリズムを正常化させることを目的として治療です。
安全性が高いとされ、よく用いられます。
心房細動が起こったからといっても、全ての人に症状が現れるわけではなく、治療が不要な場合もあります。
心房細動の治療は、心拍のリズムを正常にすることと、血栓を予防することの2点です。治療が必要と医師から告げられた場合は、医師の指導のもと生活習慣の改善を行い、薬は正しく服用しましょう。
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