記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/31
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「水虫」というと、足の裏や指と指の間にできたものを想像する方が圧倒的に多いですが、爪が水虫になってしまう「爪水虫」もあります。以降で詳しい症状や原因などを解説していきます。最近爪の異変に気づいた方は、ぜひ参考にしてください。
爪水虫は、足の水虫と同様に白癬菌に感染したことで発症する症状です。発症すると爪の間に白癬菌が入り、徐々に指側へと侵食していきます。基本的に爪水虫は足に発症することが多いのですが、手にも発症することがあります。
爪水虫になりやすいのは、足の裏に汗をかきやすい人や、足の温度が高い状態で過ごしている人です。爪が白くなったり、黄色くなったりした場合は、要注意です。爪水虫は痛みや痒みがないため放置してしまう人が多いのですが、そうすると家族や恋人など一緒に暮らしている人にうつってしまう可能性があるのです。違和感に気づいたら、できるだけ早く病院へ行きましょう。
爪水虫を発症すると、初期の状態では爪が白っぽく濁ります。これは、白癬菌が増殖して爪が破壊され、空気が入るためです。爪がボロボロになったり、厚くなったりする人もいます。症状は、爪の先端部分から始まることが多く、爪全体が白くなったり、黄色や茶褐色に変色することもあります。そして爪の表面に多くの筋が発生し、きれいに生えてこなくなります。痛みや痒みはでませんが、このように見た目で判断できることが多いです。
また、爪の下に垢の塊ができ、爪を切った時に爪が崩れやすくなったり、爪の変形が進むと、履いている靴にあたって痛みを感じたりするケースもあります。
爪水虫は、手足の爪の先に溜まった垢に白癬菌が感染したことが原因で起こります。水虫は一般的に足の指の間に発症しますが、適切な治療を行わずに感染が広がると、爪の中にまで進んでしまうのです。
なお、この原因である白癬菌は、温かく湿った場所を好んで繁殖します。そのため、汗をかきやすい人が通気性の悪い靴を履くと、白癬菌が繁殖しやすくなるので要注意です。予防のためにできるだけ通気性の良い靴を履き、家に帰ったら足を丁寧に洗ってからよく乾かし、清潔な状態にしておくことが大事です。
爪水虫に気付いたら、他人への感染を防ぐためにも、すぐに治療を行うことが大切です。自覚症状に乏しいため、気付いた時には、かなり症状が進んでいることも少なくありません。
市販されている水虫の治療薬は、ほとんどが足水虫用のものですが、足水虫用の治療薬では、爪水虫にはほとんど効果がありません。ですから、病院へ通って医師に処方してもらった薬を服用することが大事です。内服薬やクレナフィン®などの外用薬で治療を行います。
薬物治療を続けて3~6か月ほどすれば、ほとんどのケースの爪水虫は治りますが、他の治療法を併用して行うケースもあります。詳しくは皮膚科医にご相談ください。
爪水虫は足裏の水虫とは異なり、痒みなどが現れない場合が多いため、放置して重症化してしまうケースも比較的多いとされています。市販薬での治療は難しいため、爪の変色や表面の筋に気づいたら、すぐに病院を受診しましょう。