記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/24
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
国の指定する難病の一つに、「ベーチェット病」があります。皮膚や目、口の中など、全身にさまざまな症状が現れる病気なのですが、具体的な症状や原因、治療法について以降で解説していきます。
ベーチェット病とは、いまだにはっきりとした治療法が確立していない、国の難病に指定されている病気です。代表的な症状は、全身の粘膜や皮膚の炎症です。特に口腔粘膜にできる潰瘍、外陰部の潰瘍、皮膚症状、目の症状が主なもので、これらの症状が急にあらわれて、しばらくすると症状は軽くなりますが、また再発するという経過をとることがこの病気の特徴です。
また、最初はあらわれていなかった症状が時間の経過とともに出てくることもあり、全身にわたって非常にたくさんの症状が出ることがあります。20~40代に多いと言われていて、発症に男女差はありませんが、男性のほうが発症後の経過が重症化しやすいという傾向があります。日本以外でも、中近東などで多くみられる病気です。
ベーチェット病の原因は、いまのところはっきりとは解明されていません。研究が進んでわかってきたことは、遺伝的要因としてベーチェット病になりやすい体質の人が、何らかの細菌やウイルスに感染したことがきっかけで、白血球が過剰に機能するようになり発症するということです。
原因となる遺伝子はHLA-B51と呼ばれるものです。これは白血球の型のようなもので、ベーチェット病の患者さんはこの遺伝子の陽性率が健常者に比べて高いことがわかっています。ただし、この遺伝子が陽性であれば必ずベーチェット病を発症するというわけではありませんので様々な因子が関係していると思われます。
ベーチェット病になるとあらわれる主な症状が、口の中に繰り返しできる口内炎です。同時にいくつもできることもあり、痛みを伴います。
皮膚にも症状が現れ、主に足首からひざ下にかけて赤く腫れた発疹が出ます。他にも静脈に沿って痛みのある炎症が起こることもあります。
そのほか、外陰部や性器の周りに潰瘍ができることもあり、これも痛みを伴います。女性では排尿時に強い痛みがあります。
そして目のぶどう膜という部位に突然炎症が起こり、目の痛み、充血、視野の異常、視力の低下といった症状が発作のように起こるのも症状のひとつです。
これらの症状は一度発症してしばらくすると治癒しますが、その後何度も再発するという経過をとります。
ベーチェット病の治療は、対症療法が中心です。口内炎に対しては基本的には様子を見ますが、苦痛が強い時には軟膏や口内炎用貼り薬を使用します。皮膚症状に関しても、まずは様子を見て治るのを待ちますが、症状が強い時にのみステロイド軟膏で炎症を抑えます。外陰部の潰瘍に対しては、まずは清潔を保つよう指導を行います。それでも軽減しない時には、塗り薬や飲み薬を使います。目の発作に対しては、発作が起きにくくするよう好中球遊走抑制剤、免疫用製剤、抗TNFα製剤などを使用します。目の症状が現れてしまった場合には、炎症が起きている場所によってステロイドや散瞳薬の点眼を行ったり、テノン嚢下注射をしたりします。
ご両親など親族にベーチェット病の患者さんがいる方は、同じくベーチェット病を発症しやすいとされています。ご紹介したような皮膚症状や目の症状などが現れたら、すぐに病院で検査を受けてください。