弱視の特徴と治療法 ― 大人と子供で特徴に違いはあるの?

2017/11/2 記事改定日: 2018/7/17
記事改定回数:1回

渡辺 先生

記事監修医師

東京都内大学病院眼科勤務医

渡辺 先生

目のトラブルの一種である「弱視」。一度は耳にしたことがあるかと思いますが、具体的にどういう状態を弱視というのでしょうか?弱視の特徴や症状、原因、治療法など、弱視とは何かということを幅広くお伝えしていきます。

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弱視とは、どのような状態?

生まれたばかりの赤ちゃんは、明るい、暗い、といった光の明暗くらいしかわかりませんが、ものを見ることにより視力を発達させていきます。そして6歳頃までに子供の視力は大人と同程度まで発達し、8歳頃までには見る力がほぼ完成します。

しかし、何らかの理由によって視力の発達が妨げられてしまうことがあります。この視力が発達していない状態が「弱視」です。視力が発達しない状態として近視を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、近視の場合は、屈折異常が原因のため、メガネやコンタクトレンズで屈折率を調整することで視力の矯正ができますが、弱視の場合は、目から脳へ映像を伝える伝達回路が発達しないことが原因のため、メガネやコンタクトレンズを使用するだけでは視力の矯正はできません。

弱視の原因とは?

弱視になる原因はいくつかありますが、代表的なものとして2つあげられます。ひとつは「斜視」です。斜視とは、ものを見る時に片方の目の視線がずれている状態をいいますが、斜視の場合、正常な目の方だけでものを見てしまうため、視線がずれている目の視力が適切に発達せずに、弱視になってしまうケースがあります。

もうひとつの原因が「遠視」です。生まれつき強い遠視を持っていた場合には、近くのものを見るときも、遠くのものを見るときもはっきりと見えず、目から脳へ映像をきちんと伝えることができないため、視力が発達しません。

そのほか、先天性白内障や生まれつき瞼が下がっている眼瞼下垂などの病気が原因で弱視になるケースもあります。

弱視の人の行動の特徴

弱視とはものがきちんと見えていない状態ですから、弱視の子供はものを見る時に見えにくそうな仕草をする症状が多いです。例えば、目を細めてものを見る、首や頭をかしげるなどしてものを見る、テレビ画面に顔をくっつけるように見るといった行動があります。また、よくものが見えていないことが原因で、なかなかものを見つけられない、よくものにぶつかる、ということもありますし、集中力がない、落ち着きがない、といった行動パターンにあらわれることも少なくありません。

さらに片目が弱視の場合には、どちらか一方の目を隠すと嫌がる、片目をよくつむるといった症状や、左右の目の大きさのバランスが悪い、といった見た目に症状が出ることもあります。

弱視はどうすれば治るのか

弱視の治療は、視力の発達が完了するまでの時期に行うことが大切といわれており、視力機能の発達期に目にはっきりとものを見せ、脳の見る力を発達させることが治療の基本となります。

具体的には、遠視などの屈折異常が原因の場合は、メガネなどをかけて屈折矯正して、網膜にピントのあった鮮明な像を映し出すことで視力の発達を促します。また、片方の目が弱視の場合は、遮閉訓練という視力増強訓練を行います。遮閉訓練とは、きちんと見えている健全な目をアイパッチと呼ばれる大きな絆創膏のようなもので隠したり、目薬を使って一時的に見えにくくすることで、弱視の目を積極的に働かせて視力の発達を促すという治療法です。

大人も弱視になることがある?

大人も弱視になることがあります。しかし、子供の場合違って先天的なものではなく、緑内障や糖尿病による網膜症、網膜剥離などの病気によって引き起こされるものがほとんどです。
これらの病気は網膜を傷つけることで視力の低下を招きますが、原因となる病気の治療と目に対する治療を同時に行えば視力を維持することが可能です。しかし、病状が進行した状態で治療を開始するケースや黄斑変性症や網膜色素変性症などのように治療法が確立していない病気が原因である場合には、視力の低下を抑えることが困難なケースも多々あります。

おわりに:弱視は早期治療が非常に大切。大人の場合は他の病気の確認を

弱視の治療法はそもそもの発症原因によって異なりますが、いずれにしても視力が発達し終わる年齢までに治療を行うことが非常に重要です。異様にテレビに近づく、よくものにぶつかるといった気になる症状がみられたら、すぐに眼科につれていきましょう。

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