記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/20 記事改定日: 2018/3/20
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
脳梗塞は、麻痺や言語障害など重篤な後遺症が残る危険がある病気であり、最悪の場合では死に至ることもあります。回復のためには1秒でも早く処置をすることが重要であり、そのためには前兆にいち早く気づけることが必要です。以降で、脳梗塞の初期症状をご紹介します。
まず、脳梗塞は何らかの原因によって脳の血管が詰まってしまい、酸素や栄養が行き渡らなくなった状態です。その状態が続くと脳組織が壊死してしまい重篤な後遺症がのこったり、最悪の場合は死に至ることもある恐ろしい病気です。
この脳梗塞の前兆には、「一過性脳虚血発作(TIA)」と呼ばれる発作があります。TIAを起こすと、一時的に脳に行く血液の流れが悪くなることによって、下記のような症状が現れます(TIAが現れてから48時間以内が特に危険とされているので、初期症状に気づいたときは必ずすぐに病院を受診しましょう)。
ふわふわとふらつくようなめまいは、脳梗塞の前兆の可能性があります。ふわふわとした浮動性めまいは、脳の血流の悪化が原因で起こることが多く、椎骨(ついこつ)脳底動脈循環不全という病気が原因で起こっていることがあります。この椎骨脳底動脈循環不全は、脳梗塞の前段階の病気とも言われるものです(中には回転性のめまいが起こる人もいます)。
吐き気も脳梗塞の前兆の一つです。先述の脳梗塞のめまいには吐き気や嘔吐を伴うことが非常に多いと言われています。
急激な激しい頭痛は、脳梗塞を引き起こす脳動脈解離のサインの可能性があります。脳動脈解離による頭痛の場合、うなじから後頭部にかけて急激な痛みを感じることが多いです。脳動脈解離は格闘技などの激しいスポーツや交通事故による外傷で起こることもあれば、何気なく首をひねった際に起こることもあります。
急な物忘れは「まだら認知症」と呼ばれ、脳梗塞の前兆と言われています。
まだら認知症は脳の血流の低下によって起こる認知症で、通常のアルツハイマー型認知症とは異なり、脳の一部のみで症状が進んでいくため、症状にムラがあります。具体的には記憶力の低下がみられますが、判断力や理解力の低下は見られないことが多いです。
物忘れに加えて、感情的になることが増えたりした場合は、脳の検査を受けるようにしましょう。
片側の手足がしびれたり、力が入らなくなったりします。片麻痺の状態です。
舌が回らず発音が困難になります。特定の音が発音できなくなるなどの構音障害を発症します。
脳の言語中枢が損傷することによって、言葉が出てこなかったり、相手に言う内容が理解できなくなったり、文字の読み書きが困難になったりします。
自分の意思とは関係なく、片側の顔の筋肉が痙攣したり、ひきつったりします。
片目に幕がかかったように見えなくなったり、視野が狭くなったり、物が二重に見えたりするようになります。
一過性脳虚血発作(TIA)のチェック基準となるのが「FAST」です。FASTとはFace(顔)Arm(腕)Speech(言葉)Time(時間)の頭文字を並べたもので、この四つをテストします。
脳梗塞になるのは高齢者の男性が多いといわれていますが、女性や若年層が脳梗塞になる場合もあります。性別や年齢に関係なく疑わしい症状がある場合はすぐに病院に行くことが大切です。そして、生活習慣も大きく関わってきます。予防のために規則正しい生活とバランスのとれた食生活を送ることが大切になるので、今一度生活習慣を見直すようにしましょう。
脳梗塞は、前兆をいち早く気づくことができるかが回復の鍵になってきます。吐き気やめまい、頭痛といった日常的な症状であっても、脳梗塞のサインの可能性があります。これらの症状に加え、ろれつが回らない、手足に力が入らないといった異変に気づいた場合は、必ず病院で検査してもらうようにしてください。