記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
2017/12/15
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
通常の本数を超えて発生した歯・「過剰歯」。実はそこまで珍しい症状ではありませんが、生えたことのない方にとってはあまり想像がつかないのではないでしょうか。今回の記事ではそんな過剰歯の特徴や、発生原因、治療法などをお伝えしていきます。
過剰歯とは、本来決まった歯の数よりも多く歯が生えていることを言います。子供の乳歯は20本、大人の永久歯は親知らずを含めて32本なので、それ以上生えてしまうと過剰歯になります。
過剰歯はおよそ30人に1人の割合で発生し、女性よりも男性に多く見られる傾向にあります。生えてくる本数は1本の場合が多く、歯の形状は小さく、丸みのある形をしているのが一般的です。
過剰歯ができる原因は、まだはっきりわかっていません。ただ、歯が作られるときの歯胚が何らかの原因で多く作られてしまったり、細胞分裂が多く起こったりしたことが原因と考えられています。ほかに、体質や遺伝によるものという説もあります。
過剰歯を放置すると、歯と歯の間が狭くなり歯並びに影響するようになります。すると歯が磨きにくくなってしまうため、結果虫歯になりやすくなったり歯周病になりやすくなってしまいます。
また、過剰歯は歯茎から出ているとは限らず、歯茎の中にとどまったままのものもあります。その場合はレントゲンを撮らなければ確認できませんが、他の歯の歯根を傷つけて感染を引き起こしたり、正常な歯の歯根を圧迫して歯根を溶かしてしまったり、本来生えてくるはずの永久歯の妨げになったりする恐れがあります。
歯科で歯の本数を確認したり、あるいはレントゲンを撮ったりしたときに気づくことの多い過剰歯ですが、歯並びに問題がなく、囊胞などの感染を起こしていない場合は様子をみることが多いです。
ただ、過剰歯のせいで歯並びに影響がある場合や虫歯が発生している場合、永久歯が出てこられない場合は、積極的に抜歯を行っていきます。過剰歯は上顎に生えることが多いのですが、もし歯の向きが副鼻腔に向いていると、そのまま成長してしまった場合、大がかりな手術が必要になってしまいます。そういった事態を防ぐためには、定期的に歯科検診を受けておくことが大切です。
過剰歯は放置すると、歯並びの悪化や虫歯の発生につながるリスクがあります。歯科検診にて過剰歯を指摘されたのであれば、歯科医の指示に従い、適宜経過観察か治療をしていきましょう。