記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/11/7
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
近年は、スマートフォンやゲームの普及の影響もあり、若年層で近視が増加傾向にあり、日本人の約3分の1が近視と考えられています。どうして近視になるのか、予防するにはどうすればよいのかなどについて、説明していきましょう。
目がものを見る構造は、カメラに似ていると表現されることがあります。レンズの役目をする角膜と水晶体を通ってきた光が、フィルムの役目をする網膜に映し出されることで、ものを見ることができるのです。
ピントが網膜にぴったりと合い正常に見える状態は正視と呼ばれ、それに対して屈折異常が起こりピントが合わない状態を近視・遠視・乱視と呼びます。
ピントが網膜より手前になっている状態が近視であり、近視には単純近視と病的近視の2種類があります。
身長や体重と同じような個人差であり、病気とは異なります。小学校高学年から中学生で発生することが多く、学校近視とも呼ばれる近視です。学校保健統計調査によると、中学生の半分以上が裸眼視力1.0未満になっていて、若年層での近視が増加傾向にあります。
角膜から網膜の距離である眼軸の距離が長い状態です。近視の度合いが強く、メガネで矯正してもあまりよくならないことが多いといわれています。
では、どうして近視になるのでしょうか。近視には、遺伝的要因と環境的要因の2つがあると考えられています。
親が強い近視である場合、子供にも遺伝する傾向があるといわれています。
読書や勉強、パソコンやスマホなどのディスプレイを見るといった、目を酷使することで近視になることも指摘されています。軽い近視の場合は、環境的要因が大きいと考える専門家もいるようです。
近視の矯正には、凹レンズであるメガネやコンタクトを使用します。メリット・デメリットがどちらにもあるので、よく検討しましょう。また、目が見えにくい原因が、他の病気のせいでないか確認するためにも、まずは眼科を受診することをおすすめします。
手入れが簡単であり、結膜炎などの目に病気があるときも使用できるというメリットがあります。また、近視の度合いが軽い場合は、遠くを見るときのみ装着するといった使い方も可能です。しかし、左右の目で度数の差が激しい場合、ものの大きさが違って見えることがあります。
視野が広く確保できるため、スポーツをする際に適しています。ただし、角膜に直接装着するため衛生面には注意が必要です。手入れの手間や装着時などに目を傷つけるリスクがあるため、小学生にはメガネを推奨されるケースが多いといわれています。また、結膜炎など目に異常があるときは装着できないため、裸眼で日常生活が過ごせない場合はメガネも準備が必要です。
エキシマレーザーを用いて角膜の中心を削るレーシックという手術で視力を回復することができます。その他、就寝中に特別なコンタクトレンズを装着し、日中は裸眼で過ごせるオルソケラトロジーという治療法もあります。
近視を予防・進行させないためには、目を疲れさせないことが大切です。
・読書や勉強するときは、正しい姿勢を心掛ける(背筋を伸ばし、目と本は30㎝離す)
・明るすぎず、暗すぎない光を使う
・テレビを見るときやゲームをするときは、適度に休憩をとる
・緑黄色野菜を十分に摂取し、栄養バランスの取れた食事をする
・近くばかりを見ずに、散歩などをして遠くを眺めるようにする
以上のことに気をつけ、1時間ほど目を酷使したら、10分休憩し、休ませてあげましょう。
近視は、日本人の3分の1に症状があるといわれています。すでに近視の人も、これ以上進行しないように、適切な読書習慣などを心がけるようにしてください。