記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/20 記事改定日: 2019/9/24
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
うっ血乳頭とは、視神経乳頭がうっ血していることであり、眼科での検査で発見される病気です。めまいや吐き気など目とはあまり関係さそうな症状から始まるため、発見が遅れるケースが多いといわれています。
この記事では、うっ血乳頭の原因や症状、治療で大切なことをまとめているので参考にしてください。
うっ血乳頭とは、胸部にある乳頭(乳首)の病気ではなく、視神経乳頭の充血・うっ血などが起こっている状態を指します。視神経乳頭は眼底の中央付近、やや鼻に寄った部分に存在し、眼底検査でうっ血乳頭を発見することができます。
初期症状が吐き気や頭痛などであるため、眼科にいくより内科などで検査を受ける人が多く、このうっ血乳頭の早期発見は難しいものとなっています。
うっ血乳頭を発症している場合は、脳腫瘍など重篤な問題がある場合が多く、脳の精密検査を含め内科的な全身の検査が必要です。
うっ血乳頭は、頭蓋内圧の上昇によって視神経乳頭と呼ばれる部位にむくみが生じる症状のことです。
視神経は脳の中を走行していますが、脳の中では硬膜・くも膜・軟膜の三層構造に包まれています。
頭蓋内圧が亢進すると、くも膜と軟膜の間を流れる脳脊髄液の圧が上昇するため、視神経も圧迫を受け、眼球と視神経がつながる視神経乳頭にもむくみが生じるのです。
頭蓋内圧の上昇を引き起こす病気は、脳腫瘍が代表的ですが、他にも髄膜炎や脳炎、脳出血などの脳の病気が原因になることもあります。
うっ血乳頭では、初期においては吐き気やめまいなど、あまり目とは関係ないように思える症状だけしかでませんが、眼球は脳にとても近い部分にあるため物理的な影響を受けやすくなります。
放っておいて自然治癒する可能性はあまりなく、そのまま悪化すると視野狭窄、モノが見えにくくなるなど視力にも悪影響が出てきます。吐き気や頭痛などの症状も重くなり、日常生活も困難になっていきますし、さらに悪化していけば失明することもあります。
また、うっ血乳頭自体も問題ですが、うっ血乳頭は眼底にある網膜神経や血管が集まっている部分が何らかの原因で圧迫されることで起こります。この圧迫は脳腫瘍など脳のある側からの圧力で頭蓋内の圧力が上昇していることで起こることがあります。
これを放置しておけばうっ血乳頭だけでなく、周囲の脳細胞を圧迫しくも膜下出血や神経障害などさまざまな不調を来すおそれがあり、生命を脅かすことにもなりかねません。
うっ血乳頭自体は眼科での眼圧検査でも診断可能ですので、診断を受けたら専門医を紹介してもらい、すぐに治療を受けましょう。
うっ血乳頭は、先述の通り通常の眼科で行える眼底検査で発見ができます。
しかしこれはあくまで圧迫による一症状であり、圧迫している原因を取り除くことが最優先であるため眼科での治療は通常後回しとされ、脳外科などでの精密検査に移るのが一般的です。
画像診断やMRIによって原因部位を特定したら、それを取り除く外科的な処置が行われます。
脳腫瘍などの疑いがある場合、とくに重要なのが診断から手術までのスピードです。
他に持病などがある場合、くも膜下出血など命に関わる劇的症状が現れる危険もあるため、なるべくスピーディな原因の特定と除去が望まれます。
脳外科や神経眼科など、この病気に精通した専門医がいる病院を選ぶことがとても重要になってきます。
うっ血乳頭を引き起こす脳腫瘍などが治り頭蓋内圧が低下すれば、基本的にはうっ血乳頭も次第に改善していきます。
しかし、発症から時間が経過している場合は、視神経乳頭への血流が長期間にわたって低下することで視神経が萎縮し、視力障害や視野障害などの後遺症をのこすことがあります。
うっ血乳頭は脳出血や脳腫瘍などの重篤な病気に合併することが多く、頭痛は吐き気・嘔吐、意識消失などの症状で病院を受診したり、救急搬送されることがほとんどです。
次のような症状がある場合は脳神経外科や救急外来を受診しましょう。
一方、うっ血乳頭自体にはほとんど自覚症状はなく、目の症状が現れて気づくことはほとんどありません。しかし、適切な治療をしないまま放置すると視神経にダメージが加わって視力低下や視野狭窄(視野が狭くなる)などの症状が現れることがあります。
物の見え方に異常を感じたときは、うっ血乳頭以外にも様々な病気の可能性が考えられるのでできるだけ早く病院を受診しましょう。
うっ血乳頭は、眼科での検査で発見されますが、脳に原因があることが多い病気です。眼科での治療よりも脳の治療が優先されるケースがほとんどのため、早期に専門医がいる病院を紹介してもらうことが重要になります。
また、初期症状は目と関係ない症状が現れることにも注意する必要があるでしょう。
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