脳腫瘍の症状とはどんなもの?治療後に後遺症が出ることはある?

2017/7/19 記事改定日: 2018/12/4
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

激しい頭痛がずっと続く、その上吐き気も...
このような症状の原因は、「脳腫瘍」かもしれません。頭痛や吐き気は一般的な症状のため、原因は必ずしも脳腫瘍でないこともありますが、激しい頭痛や嘔吐が続くときは何らかの疾患の可能性があるため病院で見てもらうことをおすすめします。

この記事では、脳腫瘍の症状に注目し、病院にかかるべきタイミングや治療について解説していきます。

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脳腫瘍とは

脳腫瘍はひらたく言うと脳内に大きな異常細胞による腫瘤ができてしまった状態を指し、良性のものと、悪性のものがあります。

良性のものは進行が遅く治療後も再発する可能性が低いものです。一方で悪性のものはまわりの組織へ浸潤したり転移したりするなど活動度が高く、一般的に治療しても再発する可能性が高くなります。

脳腫瘍の症状

脳腫瘍の症状は、脳のどの部分に腫瘍があるかによって変わりますが、一般的な症状は以下の通りです。

  • 激しい頭痛が続く
  • 吐き気が続く
  • 眠気がずっと続く
  • 集中力、注意力が異常に低下する
  • 記憶に異常がみられる
  • 歩き方や話し方が変化する
  • 視野狭窄がある

多くの場合、これらの症状は少しづつ現れるため本人や家族は気づかないことも多いのが特徴です。

しかし、人によっては突然脳卒中のような深刻な症状が現れることもあります。

病院に行くタイミング

上記のような症状が出たら、医師の診察を受けましょう。特にずっと続く激しい頭痛の場合は診察を受けましょう。頻度から考えると脳腫瘍が原因である可能性は通常高くはありませんが、上記のような症状が出る場合は、診察が必要です。

症状の原因を特定するためCTスキャンやMRIによる検査が必要になる場合があるので、病院は脳神経系の診療科目があるところがおすすめです。

脳腫瘍になりやすいのはどんな人?

脳腫瘍には多くの種類があり、子供から大人まで誰でもなる可能性がありますが、特に高齢者がかかることが多いといえます。

加えてがんをお持ちの方やHIVに感染している方などは脳腫瘍になるリスクが高いです。また脳腫瘍は遺伝的要因もあるため、家族の中に脳腫瘍を発症したことがある人がいる場合もリスクが高いといえるでしょう。

脳腫瘍はどうやって治療するの?

脳腫瘍の治療は腫瘍がある場所や、症状の進行度合いで異なりますが、外科手術や放射線療法、化学療法などがあり、組み合わせて治療することもあります。

外科手術は脳腫瘍を取り除くために行われますが、患者の脳の機能を保つことを重要視するため、状態によっては腫瘍をすべて取り除けないと判断されることもあります。その場合は、放射線治療や化学療法による治療を続けることで、手術後に残った異常な組織を治療する必要があります。

脳腫瘍の後遺症について

脳腫瘍の治療の多くは、手術による切除が主体となります。手術は脳と腫瘍の境目を慎重に剥離して摘出されますが、正常な脳にダメージを与えてしまうことも少なくなく、場合によっては聴神経や視神経、顔面神経などの重要な脳神経にダメージを与え、神経麻痺を引き起こすこともあります。
また、ホルモンを分泌する下垂体や視床下部にダメージが加わると、正常なホルモン分泌ができずに無月経や甲状腺機能低下症など様々な内分泌疾患が生じます。

脳腫瘍の治療後の後遺症は、手術をした部位によって異なりますが、以下のようなものが挙げられます。

  • 手足の運動・感覚麻痺
  • 手足のしびれ
  • 難聴や視力障害、顔面神経麻痺などの脳神経障害症状
  • ホルモン分泌異常
  • てんかん発作

これらの後遺症は治療を行う上で一定確率で生じるものです。後遺症が残った場合は、リハビリを行って麻痺が生じている部位の筋力を強化したり、ホルモン剤や抗てんかん薬などの薬物療法が行われます。

リハビリを行えば、完全に元の状態に戻ることはできなくても、ある程度は運動機能を取り戻すことも可能です。また、歩行困難な場合には杖や車いすを使って自力で移動できるような訓練を行うことも大切です。
薬物療法が必要な場合は自己判断で治療を中断せず、定期的に病院を受診して適切な治療を続けるようにしましょう。

おわりに:嘔吐を伴う頭痛が続くときは病院に行きましょう

嘔吐を伴う頭痛の原因が脳腫瘍である頻度は低いものの、念のためのチェックはしておいたほうがよいでしょう。

あまり症状がひどいようなら、一度病院で診察をお受けになる事をお勧めいたします。家族や周囲の人は症状を細かく観察し、不安がある場合は軽く考えずに必ず病院でみてもらうようにしましょう。

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