記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/21 記事改定日: 2018/11/9
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
今回の記事では、「食道がん」の原因や症状、治療法などについて解説していきます。
食道がんは初期症状に気づきにくいので、早期発見と予防がとくに重要ながんです。
この機会に、食道がんの基礎知識を覚えておきましょう。
食道は頸部食道、胸部食道、腹部食道と大きく3つに分けられますが、日本人の食道がんの約90%は、胸部食道に発生しています。食道の入り口から3~20cmくらいまでのところが該当します。
食道がんには、食道の内側表層部にできる扁平上皮がんと、食道の内側食道腺の細胞ががん化してしまう腺がんがあります。日本人の食道がんの約90%は扁平上皮がんに分類されます。
食道がんは誰しもが発症する可能性を持っていますが、その可能性を高めてしまうのが飲酒や喫煙です。慢性的な刺激因子が多いほど食道がんのリスクも高くなるので、特に長くタバコを吸っている人、たくさんお酒を飲む人は注意が必要です。食道の粘膜が定期的に多くの刺激を受けると、細胞が変異してがん化する可能性が高くなってしまいます。
ちなみに、お酒を飲んで顔が赤くなるタイプの人は、食道がんのリスクは高くなるといわれています。とくに、お酒を飲んで赤くはなるけど飲むことに慣れきて、だんだん飲酒量が増えてきたという人は注意しましょう。
過度な飲酒や喫煙は食道がんのリスク因子と考えられています。飲酒も喫煙も量が多くなればなるほど食道がんの発症率が高くなることが分かっています。
アルコールには食道粘膜にダメージを与える物質が含まれています。適量の飲酒であれば特に問題となることはなく、粘膜へのダメージも自然に修復されます。しかし、長年にわたって過度な飲酒を続けると、粘膜に過剰なダメージが加わることで発がんリスクが高まると考えられています。また、タバコにはタールなどの発がん性物質が大量に含まれています。食道には直に発がん性物質を大量に含む煙が入り込みやすいため、発症率が上昇すると考えられています。
また、過度な飲酒と喫煙を同時に行うと、食道がんの発症率がさらに上昇することがわかっています。これは、アルコールを分解するための酵素が大量に使用されることで他の酵素も活性化し、それがタバコの発がん性物質の作用を促進すると考えられています。
食道がんは、自覚症状が少ないことが特徴です。がんが発生しても初期の段階で自覚症状がある事は稀で、ある程度進行してから症状を感じるようになります。
最初に感じる自覚症状としては、酸っぱいものや熱いものが喉にしみるような違和感があります。飲み込むときの違和感もあるので、持続するようなら受診をおすすめします。
その後は食物を飲み込むときにつっかえるような感じが続き、胸や背中に痛みを感じるようにもなります。これは、がんが大きくなって食道を圧迫していることが原因と考えられます。
以降は背骨あたりが痛んだり、食べ物が食べられなくなって体重が減ったりといった症状が出てきます。咳が出たり声が掠れたりする場合もあります。
食道がんの治療法としては、外科的な手術や放射線治療、化学療法が挙げられます。
まず、がんを切除し、周りの組織も切ってしまう外科手術は一般的な治療法です。近年では内視鏡による手術の技術が進んでいるので、手術方法の選択肢は増えつつあります。
次に放射線治療の場合は、食道がんに対して放射線を少しずつ当て、がん細胞を攻撃します。内側から放射線を当てる方法と外側からアプローチする方法があります。
また、化学療法とは抗がん剤の注射や服用などです。がん細胞を攻撃して小さくし、死滅させることがねらいですが、副作用が大きいことでも知られています。
食道がんの治療では、これらの治療法を選択したり、組み合わせたりして行っていきますが、具体的な治療方針などは医師とじっくりと相談をして決めていくことになります。
初期段階では自覚症状が少ない食道がんですが、のど元の違和感が慢性的に続くようであれば、食道がんのサインかもしれません。日常的に飲酒や喫煙をされる方で、疑わしい症状がみられた場合は、すぐに病院で検査を受けてください。
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