記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/28 記事改定日: 2019/9/25
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
赤ちゃんが発症することのある脱臼の一種、「先天性股関節脱臼」。「先天性」という病名から、生まれついたものであると思われやすいのですが、ほとんどのものは生まれた後に発症しています。先天性股関節脱臼とはどのような症状なのか、治療法と併せて紹介します。
先天性股関節脱臼とは、大腿骨が骨盤から外れている状態です。「先天性」とついていますが、ほとんどのケースで生後に診断されることが多いため、最近では「発育性成形不全」ともいいます。生後間もない赤ちゃんにしかみられない症状で、特に痛みを感じることはありません。
先天性股関節脱臼が起こる原因として、以下の2点が考えられます。
赤ちゃんの足は大人と違ってM字に曲がっています。この姿勢は赤ちゃんにとって自然で良い姿勢ですが、足を無理にまっすぐに固定しておむつを替えたり、服を着せたりすると股関節脱臼が起こることがあります。
関節の緩さ、骨の形状の特徴には少なからず遺伝が関係すると言われています。先天性股関節脱臼にも同様に遺伝するケースもあるようです。
先天性股関節脱臼があっても、赤ちゃんが痛がって泣くことはほとんどありません。ただ、以下のような動きをみせることがわかっています。
赤ちゃんの両足を曲げ、その状態で膝を持ち、股を開いてみてください。このとき「ポキッ」とした音や、「クリッ」という引っ掛かりがあると股関節脱臼が疑われます。右足、左足どちらかが開きにくい、もしくは硬くて開くことができない場合にも脱臼が疑われます。
おむつ替えをするときや入浴中、足を開いた状態で赤ちゃんの太ももの皺の数を数えてみてください。この時左右で皺の数が違っている場合、先天性股関節脱臼の可能性があります。また、足を揃えたとき、つま先の位置が左右で異なる場合も注意が必要です。
ハイハイは早ければ生後半年くらいで始まりますが、そのときにどちらかの足を引きずるような動きをしたり、動かしにくいようなそぶりがあれば、脱臼が疑われます。赤ちゃんによっては動かし方に多少のクセがありますが、長く続くようなら病院で相談してみるのも良いでしょう。
先天性股関節脱臼は治療できないものではなく、ほとんどの場合が元に戻すことができます。
先天性股関節脱臼の一般的な治療法として、リーメンビューゲルによる治療があります。リーメンビューゲルとは、足と胴体を調節可能なリードで固定するもので、赤ちゃんの足をM字に開く自然な姿勢がとれるようにする治療装具です。これをしばらくの間装着したまま過ごします。リーメンビューゲルを装着して治すことによって、股関節脱臼の約8割は整復が完了します。
リーメンビューゲルによる治療で効果が得られなかった場合、手術によって大腿骨を骨盤にはめ、そのあとギプスで固定する方法が選択されます。