記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/28 記事改定日: 2020/2/20
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
亜脱臼とは、スポーツや事故などで身体の一部に強い衝撃を受けたときに起こる、脱臼の一歩手前の状態をいいます。ここでは、脱臼との違いや治療の進め方などについて解説します。
関節は靭帯や筋肉によって安定が保たれています。
スポーツや事故などで関節に強い衝撃を受けたときに靭帯や筋肉がいたみ関節がずれた状態になることを脱臼と呼びます。
脱臼は関節が完全にはずれた状態のことを指し、亜脱臼は関節をつくる骨同士にずれはあるものの、かろうじてつながっている状態のことです。
亜脱臼を起こすと
などの症状が起こり、自力で動かすことが難しくなります。
反復性脱臼とは、一度脱臼を生じることで関節を支える組織が緩んだり断裂したりすることで、脱臼を再発しやすくなるものを指します。
肩関節に起こりやすく、とくに初回の脱臼が10代の頃に生じたものは反復性脱臼になりやすいとされています。ひどい場合には、背中に手を回したり寝がえりを打ったりなど日常生活上の動作で脱臼を引き起こすこともあるため注意が必要です。
治療法は脱臼の整復を行うことも大切ですが、再発を防ぐには緩んだ関節の構造を正常に戻すための手術が行われることがあります。
基本的に亜脱臼は、何らかのきっかけで関節の可動域を超えて骨がずれてしまったときに起こります。
また、頸椎のリウマチ病変が原因で頚椎が前方または上方へ亜脱臼することもあります。
亜脱臼の治療には保存療法と手術療法があり、保存療法では回復せず日常生活に支障がある場合や、スポーツ選手などがパフォーマンスアップや再発防止を望んだ場合に手術療法が検討されます。
一般的に亜脱臼は、関節内に麻酔を注入した状態で関節面を元の状態に用手的に戻し、ギプスなどで固定した関節の安定化を図る保存的な治療が行われます。亜脱臼を起こすと関節周囲の靱帯がダメージを受けますので、3~4週間ほどは固定して関節を安静にして靭帯の回復を待つ必要があります。
亜脱臼を繰り返す場合やスポーツ選手などで亜脱臼の再発が望ましくない様な場合には、手術による根本的な治療を行うこともあります。
手術は関節鏡と呼ばれる内視鏡が用いられ、皮膚を数センチ切開した部位から内視鏡を挿入し、ダメージが加わった靭帯や関節包などを修復していきます。手術時間は一時間程度で入院日数は1~2日程度ですが、術後はしばらく関節の固定を行い、リハビリを行いながら徐々に関節運動の範囲を広げていく必要があります。
リウマチで見られる頸椎の亜脱臼は、頸椎の上部で生じます。進行して脊髄が圧迫されるようになると重篤な麻痺や呼吸不全などの症状を引き起こすことがあります。
このため、リウマチによる頸椎の亜脱臼には頸椎を固定するための手術が必要になることが多く、手術を行わない場合でも頸椎カラーを装着が必要になることがあります。
肩などの大きな関節の亜脱臼は、軽度のものであれば特別な治療の必要がないことも多いです。ただ、状態がどんどん悪化しているときや日常生活やスポーツのプレイ中に支障があるときなどは手術が必要になることがあります。
また、頚椎のリウマチ病変の場合は処置が遅れると命に危険が及ぶこともあります。
亜脱臼だからと油断せず、必ず病院で状態を確認してもらい、適切な処置をしてもらいましょう。