記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/27 記事改定日: 2018/4/5
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
貧血とは、血液中の赤血球の数やヘモグロビンと呼ばれる血色素の濃度が正常より低い状態のことです。(※貧血は原因によっていくつかの種類にわかれますが、ここでは最も多いとされている鉄欠乏性貧血についてお伝えします)
今回は、貧血になるとどのような症状があらわれるのか、また、どのような改善方法があるのかを見ていきましょう。
貧血になると体内の鉄分が不足してヘモグロビンの量が減り、全身に運べる酸素の量が減ってしまいまうため、体のあらゆる組織や臓器が酸欠状態になってしまうのです。
貧血の症状の中では〈倦怠感、めまい、青白い肌、手足の冷え〉などが広く知られていますが、他にも以下のようなさまざまな症状がみられます。
多くの女性は生理(医学的には月経というのが一般的です)によって出血が起こるため、男性よりも貧血になりやすい傾向があります。
生理期間中の出血量がそれほど多くなければ貧血になることはありませんが、無理な減量や偏食をしていると、生理による出血でも貧血が起こることがあります。
また、子宮筋腫や子宮内膜症によって生理時の出血量が増えることでも貧血が起こりやすくなります。
鉄欠乏性貧血の場合、鉄剤と食事療法による鉄分補給で貧血を改善していくことが多いです。
ただし、貧血には他の病気が隠れている可能性や、貧血が鉄不足以外の原因で起きている可能性もあるので、セルフケアを行うより先に貧血の原因を医師に診てもらうようにしてください。
代表的な改善方法は以下の通りです。
鉄剤とは精製した鉄粉を主原料にした薬剤です。
食事の中に含まれる鉄よりも大量の鉄を含んで吸収されやすい状態なので、効率よく鉄を摂取することができます。
鉄剤を服用すると胃が気持ち悪くなるなどの消化器症状が出ることもあるので使用が難しいこともありますが、その場合は医師と相談した上で他の方法で鉄を補給します。
また、鉄剤を服用し始めると2~3ヵ月ぐらいで大抵は貧血の症状は治まりますが、自己判断で服用を止めてはいけません(この段階では、まだ貯蔵鉄の量が充分ではなく、再発する可能性が高いため)。
定期的に血液検査を受け、医師の指示に従って治療を続けるようにしましょう。
貧血の食事療法は1日3食、栄養のバランスの良い食事をすることが基本です。
その上で、鉄分や造血に必要な成分を多く含む食品を食事に取り入れることで貧血を効果的に改善することができます。
具体的には次の項目で紹介する4つのポイントに気をつけるようにしましょう。
必要以上のダイエットや食事ぬき(特に朝食)が、思春期や若い女性の貧血の原因になっています。
また、偏食は栄養不足を招きやすいので注意しましょう。
タンパク質は血液中の赤血球やヘモグロビンの材料となる大切な栄養素なので、毎食主菜にとりいれて食べるようにしましょう。
良質のたんぱく質を含む食品には、魚介類、肉類、卵、大豆製品、乳製品などがあります。
食品に含まれる鉄分には、吸収率の良い「ヘム鉄(肉類や魚介類に含まれる)」と、あまり吸収の良くない「非ヘム鉄(乳製品や青菜に含まれる)」があります。
ビタミンCは非ヘム鉄を吸収しやすい形にしてくれるので、非ヘム鉄を含む食品と一緒に摂るようにしましょう。
ビタミンB12と葉酸は正常な赤血球を作るために必要な栄養素です。
ビタミンB12を多く含む食品(牛レバー、豚レバー、魚介類、貝類、卵黄、チーズなど)と葉酸を多く含む食品(牛レバー、豚レバー、卵黄、大豆、納豆、ホウレンソウ、ブロッコリーなど)も積極的に食べるようにしましょう。
良く知られている〈倦怠感、めまい、青白い肌、手足の冷え〉などの他にも、貧血は〈肩こり、吐き気、爪がはがれる〉などのさまざまな症状を引き起こします。
今回紹介したように鉄剤の使用と食事療法による改善が一般的ですが、貧血が疑われる場合は病院で診察を受けて原因を特定してもらってから、原因に合った改善に取り組むようにしましょう。