記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/29 記事改定日: 2018/12/6
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
感染性心内膜炎とは心内膜に感染が起こる循環器系の病気です。病気が進行すると心臓弁膜が破壊され、重篤な症状に陥ることがあります。
急性と亜急性に分けられますが、それぞれ症状に違いはあるのでしょうか。
この記事では感染性心内膜炎の原因や症状、治療法など基礎知識を紹介していくので、気になる症状がないか確認してくださいね。
血液中で細菌感染し、心臓の中に菌の塊ができた状態を感染性心内膜炎といいます。菌の塊とは、感染巣のことで、循環器系の病気であり敗血症のひとつです。
多くが、何かしらの心臓の病気を抱えている人に生じるもので、虫歯のある人や心臓弁膜症のある人に発症しやすいとされています。
感染性心内膜炎は、急性と、亜急性に分けられます。
目立った初期症状は発熱程度におさまりますが、進行して心臓弁膜が破壊されると、心不全、息切れ、呼吸困難などを現すようになります。発症頻度の高い病気ではありませんが、なんらかの治療を行わなければ助からない病気ですので、危険度が低いとはいえません。
発熱や関節痛、筋肉痛などの全身に起こる症状がありますが、少しずつ進行する場合には初期症状はほとんど感じられません。
他には、なんとなく疲れている、体がだるいといった感覚、手足に黒い斑点が見られることもあります。また、血栓が剥がれて脳梗塞に発展したり、感染性の塞栓が拡がり感染性脳動脈瘤を起こす可能性もあり命の危険があります。
微熱が長期間続いたり、爪に斑点ができていたりするならば感染性心内膜炎を疑い一度検査してみることをおすすめします。
感染性心内膜炎の症状は一般的な風邪や感染症などと似ているため、見逃されやすい病気の一つです。
これらの病歴がある人は特に感染性心内膜炎を発症するリスクが高い人です。これらに該当する人で、以下のような症状が見られる場合は感染性心内膜炎の発症を考慮してなるべく早めにかかりつけ医に相談するようにしましょう。
もっとも重要なのは、原因となっている細菌(原因微生物)を特定し、死滅させることです。まずは心エコー検査や、血液培養検査によって具体的に細菌を突き止め、もっともよく効く抗生物質を特定します。心臓に異常がある場合は、抗生物質の投与の前に血液中の細菌の有無を検査しなければなりません。
問題がなければ、抗生物質の静脈内投与が行われるのが通例です。最低でも2週間は必要ですが、長い場合には2ヶ月程度の投与が必要になります。ほとんどの場合で入院が必要ですが、回復してくると訪問看護師などの支援によって退院できる場合もあります。
しかし、抗生物質だけで感染症が治癒しない場合には心臓手術が必要になることもあり、とくに人工弁など人工素材に感染を起こしている場合には治癒しにくいといわれています。損傷している弁を心臓手術で修復するか、置換、切除、腫瘍を排出する処置が検討されるでしょう。
何の治療もしなければ死に至りますので、必ず治療が必要な病気です。
感染性心内膜炎を発症することは非常にまれではありますが、進行すると命に関わる重篤な状態に陥る可能性があります。亜急性の場合は急性のようにはっきりとした症状が現れないことがあるので注意が必要です。微熱が長く続き一向に治まらないなど、気になる症状があるときは必ず病院を受診しましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。
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