記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/8 記事改定日: 2018/8/15
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
腎硬化症は腎臓が硬くなってしまう病気であり、尿毒症を発症するまで重症化してしまうと人工透析が必要になってしまう危険な病気です。腎硬化症は、どんな原因で発症し、どんな症状が現れるのでしょうか。予防法についてもまとめていますので参考にしてください。
腎硬化症とは、高血圧が続くことによって起こった腎臓の動脈硬化のため、腎臓そのものが硬くなり、機能も低下してしまう病気です。腎臓のろ過機能を担う「糸球体」へ血液を送る細動脈に圧力がかかると血管の内側が狭くなり、腎臓へ送られる血液が減ってしまいます。このため、腎の線維化と糸球体の硬化が進み、腎臓の硬化につながるのです。
なお、腎硬化症は、症状の進行が比較的ゆるやかな「良性腎硬化症」と、急激に症状が進行する「悪性腎硬化症」の2つに分けられます。良性も悪性も発症する原因は同じく高血圧が続くことです。しかし、悪性の場合は、血圧を上昇させる「レニン」というホルモンや遺伝的要因が関係しているのではないかと考えられています。
腎硬化症の症状は、良性と悪性で異なります。以下はそれぞれの症状の特徴です。
もともと高血圧持ちの40代以上の人に多く、自覚症状がないことも珍しくありません。個人差はありますが、肩こりや動悸、めまい、頭痛といった自覚症状に加え、眼底の異常や心臓障害などが生じることがあります。
30代の比較的若い世代の人に発症することが多いことが特徴で、血圧の著しい上昇により毛細血管の破壊が進むことで腎機能も急激に低下します。体の老廃物を排出できずに尿毒症に進んだのち、肺水腫を伴う心不全や脳出血につながるリスクもあり、激しい頭痛や視力障害、悪心、嘔吐、意識障害、けいれんなどが現れることもあります。
腎硬化症の治療においては、まずは高血圧を悪化させないことが大切です。良性腎硬化症の場合は、塩分を控えた食事療法や、肥満であれば減量を意識した運動療法などによって血圧のコントロールを計ります。生活習慣を見直しても改善が見られなければ、血圧を130/80 mmHg未満に下げることを目標に、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)といった降圧剤が投与されます。
特に悪性腎硬化症の場合は、できるだけ早く血圧を下げる必要があるものの、急激な高圧は脳血流の低下や腎機能の低下を引き起こすおそれがあり、注意が必要です。そのため、カルシウム拮抗薬(CCB)の注射と、ACE阻害薬やARBが併用されることもあります。
腎硬化症では、良性でも悪性でも、腎機能が低下して尿毒症に至れば人工透析は避けられません。人工透析は、機械を用い、腎臓でろ過できなくなった血液を約4時間かけて浄化するという治療法です。週3回通院したり合併症を起こしたりと精神的にも体力的にも負担が大きく、一度始めたら一生続けなければなりません。
高血圧は生活習慣病の一つです。高血圧は高カロリーや高脂肪、高塩分の食事、過度なアルコール摂取や喫煙など望ましくない生活習慣を続けることで発症するリスクが高くなります。また、運動不足や肥満も高血圧のリスクとなることが知られています。
高血圧を予防するには、これらの生活習慣を改善することが重要です。特に、高血圧になりやすい体質は遺伝が関与している可能性もあるため、親や兄弟など身近な親類が高血圧の場合には注意が必要です。
また、高血圧は自覚症状がないため、自身の血圧の状態を把握するには、定期的に血圧を測るしかありません。定期検診などでも血圧は測りますが、一時点のみの血圧では状態を把握することはできないので、自宅で定期的に測るようにしましょう。
腎硬化症が悪化して尿毒症になると、人工透析が必要になってしまいます。負担の大きい人工透析を避けるために大切なのは、早い段階で腎硬化症を発見し、すみやかに治療を開始することです。、早期に適切な血圧コントロールを試みることで、腎機能の回復も見込めるケースもありますので、特に普段から高血圧を指摘されている人は、定期的に健診を受けたり、普段の食事を見直したりするようにしましょう。