ジェネリック医薬品のことを知ろう ~ 安いけど、「効果が同じ」は嘘!? ~

2017/11/27

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

「ジェネリック医薬品をご希望ですか?」――病院で処方箋をもらって薬局に持っていったとき、必ず尋ねられるこの質問。「従来の薬と効果が同じなのに安い」という点から、きっと多くの方がジェネリックを希望されていることかと思います。

ではもしも、「従来の薬と効果が同じ」という前提が間違っている可能性があれば、どうしますか?ジェネリック医薬品の効果は従来品と果たして同じなのかどうか、医師の見解を交えながら、お伝えしていきます。

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そもそもジェネリック医薬品って?

ジェネリック医薬品とは、新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に、別の製薬会社が発売する後発医薬品のことです。新薬の特許期間は、特許を出願した日から原則20年間です。特許期間においては、特許を申請した製薬会社が独占的に製造、販売ができます。しかし特許が切れると、別の製薬会社でも同じ有効成分の薬が販売できるようになります。

ジェネリック医薬品は、新薬と同じ有効成分を使っており、効き目や安全性などが新薬と同等と認められた薬です。「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に基づく審査のもと、開発・製造され、厚生労働省の承認を得て販売できるようになります。

ジェネリック医薬品が安い理由

ジェネリック医薬品にする最大のメリットと言っても過言ではないのが、その安さ。ただ、「なぜ同じ薬なのに、ジェネリックだと安いの?」と疑問に思ったことはないでしょうか。

この安さの理由は、「新薬よりも開発への投資が少ないから」です。新薬の場合は開発におよそ十数年程度の期間を要し、数百億円にのぼる開発コストがかかるとされています。しかしジェネリック医薬品の場合は、既に安全性や効き目が確認された有効成分を使うため、新薬に比べるとかなりの低コストで開発できるようになります。このように開発コストが大きく抑えられているからこそ、新薬よりもかなり安い料金で提供することが可能なのです。

実は日本は、海外先進国に比べるとジェネリック医薬品が普及していません。2016年における数量ベースの比較で、ジェネリック医薬品が医薬品全体に占める割合は、アメリカは91.7%、ドイツは86.3%、イギリスは76.6%なのに対して、日本は59.0%です。ジェネリック医薬品でも基本的には効能が同じと考えて良いため、価格を考えるとジェネリック医薬品を使った方がお得です。

ジェネリック医薬品の効果は先発医薬品とは違う!?

 

先発医薬品と同じ有効成分で作られ、先発医薬品と同等の安全性や効き目を持つとされるジェネリック医薬品。さらに先発医薬品よりも販売価格が圧倒的に安いこともあり、もはやジェネリックにしない理由が見当たらないようにも思えますが、ジェネリック医薬品の効果は、先発医薬品と全く同じとは言い切れません。

先ほど説明したとおり、先発医薬品の特許が切れた後で販売されるのがジェネリック医薬品ですが、特許が切れたと言っても、実は特許の一つである「物質特許」が切れただけで「製剤特許」や「製法特許」がまだ残っていることが一般的で、先発医薬品と全く同じ製剤、製法でジェネリック医薬品をつくることはできません。また、ジェネリック医薬品が承認されるには、各試験を通じて、新薬と同じ有効成分・効き目・安全性であることが確認されなければなりませんが、薬の製造方法や形、味、色、添加物については全く同じとは限らないのです。あくまで安全性や効能に影響しない範囲と決められていますが、服薬した人に新たな影響を与えてしまう可能性もゼロではありません。

また、ジェネリック医薬品では、従来の先発医薬品ではみられないはずの副作用が出ることがあるともいわれています。ジェネリック医薬品は審査にて先発医薬品と同等の安全性が確認されているものの、先述のとおり、添加物の種類が異なることがあります。このことにより、新たなアレルギー反応が出てしまうこともあるのです。

実際、一部の薬剤では、ジェネリック医薬品と先発医薬品で治療効果が異なる可能性が高いと考えられているものがあります。例えば抗てんかん薬では、先発医薬品からジェネリック医薬品に変えることで、少量の変化で発作が再発したり、副作用が起きたりすることがあります。日本小児神経学会・日本てんかん学会は『てんかん患者の抗てんかん薬治療においては、先発医薬品と後発医薬品、あるいは後発医薬品同士の切り替えに際して、医師および患者の同意が不可欠であるとともに、充分な情報提供が求められる。』という提言を出しています。

そして、ジェネリック医薬品に対する「不信感」も、効果を減少させる理由のひとつとして考えられています。たとえ先発医薬品と効き目が同等だったとしても、そもそもジェネリック医薬品に対して不信感があると、治療への満足度が下がったり、不安が生まれたりする可能性もあるのです。

おわりに:ジェネリックへ切り替える前に、医師と相談を

先発医薬品と基本的に同等の効能を持つだけでなく、開発への投資が少なく済むために安い価格で購入できるジェネリック医薬品。ただ、一部では、先発医薬品とは異なる治療効果が出てしまう恐れのある薬も報告されています。このため、ジェネリック医薬品に切り替えても問題ないかについては、医師と相談の上、決定することをおすすめします。

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