記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/1 記事改定日: 2018/11/26
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
尿路結石のうち、腎臓にできた結石を「腎結石」といいます。今回の記事では、この腎結石が引き起こす症状や発生原因、腎結石が悪化して発症する結石性腎盂腎炎の症状について説明しています。
腎結石(腎臓結石)は、腎臓内にできた結石のことです。結石ができた場所によって名称が異なり、腎杯結石や腎盂結石などと呼ばれ、大きくなったものはサンゴ状結石と呼ぶ場合もあります。
この腎結石が尿管まで流れたものは尿管結石と呼ばれ、その位置によって膀胱結石や尿道結石と名称を変えていきます。これらの結石全てを総称して尿路結石といい、時には激しい痛みを伴うこともあります。
腎結石ができる原因は、はっきりとは解明されていませんが、元々の体質や食生活、ストレスなど、様々な要因が組み合わさって引き起こされると言われています。主な原因と考えられるものは、水分の摂取不足、食事内容、腎機能の異常、尿に含まれるカルシウム・シュウ酸の増加などです。
結石は腎臓内にある時は殆ど痛みが無く、目立った症状もありません。ただし、腎臓から尿管に移動する際に、途中で引っ掛かるなどした際に痛みが発生します。
また、結石が尿管や膀胱に詰まってしまうと、疝痛と呼ばれる差し込むような激しい痛みに襲われます。
痛み以外にも、尿のにごりや血尿を伴う場合や、頭痛、めまい、吐き気、肩こりなどの様々な症状が出ることもあります。
なお、結石が詰まり、腎臓内の腎盂と呼ばれる場所に細菌が発生すると、発熱を引き起こすことがあります。これが腎盂腎炎です。腎盂腎炎は汚れた尿が上手く排泄できないことで起こるため、結石が無くても発症することもありますが、結石が原因のものを結石性腎盂腎炎と呼びます。
腎盂腎炎は更に悪化すると菌血症を引き起こす恐れがあります。菌血症とは腎臓に感染した細菌が血流と共に全身に回ってしまった状態です。
全身が炎症した状態となり、血圧の低下やひどい場合には呼吸が困難になることもある感染症です。菌血症になってしまうと集中治療室での治療が必要となります。
結石性腎盂腎炎の症状には以下のようなものがあります。結石性腎盂腎炎は治療が遅れると敗血症を引き起こし、生命の危険につながることもありますので、あてはまる症状がある時はなるべく早めに病院を受診して、適切な検査・治療を受けるようにしましょう。
腎結石を早期発見するには、初期症状に気づくことが大切です。初期症状は分かりにくいことも少なくありませんが、肩甲骨のやや下側の腰部にキリキリとした痛みが生じ、叩くと痛みが増強するのが特徴です。また、尿量の減少や血尿、排尿時痛などが見られることもあります。
また、腎結石は治療して完治したとしても発症することが多く、特に一度発症したことがある人は定期的に、超音波検査やレントゲン、CT検査などを受けるようにしましょう。
1cm以下で軽度の腎結石の場合、自然に排泄されることもある為、尿管を広げる薬を服用したり、水分を多く摂って様子を見ることが多いです。結石が大きい場合は、結石を砕く処置をしますが、効果が無い場合には内視鏡治療をすることもあります。
また、結石性腎盂腎炎を発症している場合には、抗生物質やドレナージ(体内に溜まった消化液や膿などを体外に排出する治療法)などによる治療が行われます。
なお、腎結石は生活習慣を改善することで、発生をある程度予防できるとされているので、日頃から野菜や海藻類を多めに摂取するようにして、水分もこまめに補給しましょう。ストレスや運動不足の解消もおすすめです。また、腎結石は夜にできると言われているので、就寝前の食事は少なめにし、十分な水分を摂取しましょう。
腎盂腎炎や菌血症を引き起こすこともある腎結石。少しでも気になる症状が出たら、なるべく早めに医療機関で受診することが大切です。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。
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