記事監修医師
メディアージュクリニック青山、皮膚科
田中 美帆 先生
2018/5/7
記事監修医師
メディアージュクリニック青山、皮膚科
田中 美帆 先生
基底細胞癌は表皮にある基底細胞にできる癌であり、比較的治癒しやすい皮膚癌といわれています。この記事では基底細胞癌の症状や治療法などを紹介していきます。皮膚に気になる変化が起こったときの参考にしてください。
基底細胞癌は、皮膚の一番外側にある表皮の基底細胞に起因する癌です。最もできやすい皮膚癌とされますが、悪性度が低いがんの一種であり、米国では毎年280万人以上が罹患しています。皮膚の色が薄く、日光にさらされた経験のある中年以降の人に多く発症する傾向がみられます。日本人の発症確率は10万人に5人といわれます。
基底細胞癌で死に至ることはめったになく、治療も切除のみの場合が多いです。しかし、基底細胞癌になった人の約25%では、5年以内に新たな基底細胞癌が発生します。
基底細胞癌は、長く日光を浴びる表皮にできやすく、80%が顔と頭に集中します。
基底細胞癌は通常、つやのある小さく硬い増殖性病変(結節)として始まります。痛みやかゆみを伴わない、黒色か黒褐色の軽く盛り上がった皮疹で、ほくろと勘違いされることもあります。なお白人では通常皮膚色の無色素性(ほぼ透明からピンク色)を呈します。
成長しながらしばしば表面がくずれ潰瘍化するのが特徴で、放置すると潰瘍は拡大し容易に出血するようになります。
このがんは、他の部位に転移する頻度は0.01%と稀ですが、時に健常組織への強い浸潤が見られます。ほとんどの場合、このがんは皮膚の中でゆっくりと成長していきます。
はっきりした原因は不明ですが、紫外線、外傷、放射線、やけどのあと(熱傷瘢痕)が関係すると考えられています。
治療法の選択肢は、臨床的な外観、大きさ、部位、および組織型に応じて異なります。
癌は局所麻酔下での切除が基本です。切除範囲は通常、病変辺縁より3~5mm離して行います。転移がまれであることから、初回の手術で病変が取りきれれば根治する確率は非常に高くなります。
また、皮膚に化学物質を塗ってレーザーをあてる光線力学療法も使われることがあります。
基底細胞がんは、適切な切除が行われれば再発は稀です。診断は、皮膚生検です。気になる黒子様の病変があった場合、皮膚科に相談しましょう。
また基底細胞癌の既往歴を有する患者は、新たな基底細胞癌を数年内に発症する可能性があるため、定期的に皮膚診察を受けるべきとされます。
普段からの紫外線ケアにも気をつけましょう。