脂漏性皮膚炎は薬だけで治せる?どんなセルフケアが必要なの?

2018/3/26 記事改定日: 2019/11/18
記事改定回数:2回

田中 美帆 先生

記事監修医師

メディアージュクリニック青山、皮膚科

田中 美帆 先生

脂漏性皮膚炎とは、わきの下や顔、頭の皮膚のように脂の分泌が盛んなところにできる皮膚病です。皮膚病といっても、フケや脂っぽい皮膚が付着することくらいしか症状が現れないこともあります。
この記事では脂漏性皮膚炎の薬と、治し方のポイントについて解説していきます。

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脂漏性皮膚炎になると、どんな症状が出るの?

脂漏性皮膚炎とは、頭部や顔面、わきの下などの皮脂の分泌が多い部位にみられる皮膚の病気です。

  • 頭皮に油っぽいフケがたまる
  • 眉毛、鼻の両脇、こめかみなどにかゆみや赤みが出る

などの症状が現れます。

個人差がありますが、顔や頭だけでなく首、前胸部、上背部、脚の付け根などにも同様の症状が現れることがあり、治療をせず放置しておくと悪化します。
また、短期的な治療で改善しますが再発例も多いです

脂漏性皮膚炎の原因は?

脂漏性皮膚炎の直接的な原因ははっきりとは解明されていませんが、遺伝的、環境的、精神的な要因などいくつかの原因が関与している多因子疾患と考えられています。
これらの要因によって皮膚分泌機能に異常が現れたときに、脂漏性皮膚炎になることがあります。

さらに、最近では、マラセチアという真菌、いわゆるカビの一種によって脂漏性皮膚炎を発症していることがわかってます。
マラセチアは皮膚の皮脂腺から毛穴あたりにいるカビで、脂腺から分泌される皮脂を養分にしているので、皮脂の量に比例して増殖しますので、湿疹の病変部を調べることでカビの有無を見つけられます。

脂漏性皮膚炎の治療薬とは?

脂漏性皮膚炎は、抗真菌薬とステロイドの塗り薬で治療するのが一般的です。
基本的には、抗真菌薬で改善しますが、炎症がひどい場合や痒みが強いときにはステロイド剤を併用します。

ただし、顔に強いステロイドを使うとステロイド性皮膚炎になることがあるので、医師による説明をきちんと聞いて、正しい使い方をするようにしましょう。
どちらも、短期的な治療で効果を感じることができますが、真菌が原因になっている場合は再発しやすく、さらに完治は難しいので長期的に治療が必要になります。

また、市販の抗真菌薬がふくまれている石鹸やシャンプーなども日々の予防ケアに役立ちますので、体質にあったものを選び、お肌の清潔を保つよう心がけましょう。

脂漏性皮膚炎を治せる市販薬はある?

軽度な脂漏性皮膚炎は市販の薬で対処することが可能です。かゆみが強い場合には、ムヒ®HDなどの炎症やかゆみを抑える効果のある塗り薬が効果的とされています。

これらの塗り薬はかゆい部分に絞って塗ることができ、副作用が少ないため、ステロイドを使用するまでもないかゆみに対して使用するとよいでしょう。

また、根本的にマラセチアを退治したい場合には、ダマリン®やタムチンキ®などの水虫に効果のある一般的な抗真菌薬に効果が見られるかも知れません。

しかし、マラセチアに対して効果がある抗真菌薬成分が入った薬は市販されていないので、効果が見られない場合には漫然と使用を続けるのではなく、必ず病院を受診して適切な薬を処方してもらうようにしましょう。

薬以外にはどんな対策が必要?

脂漏性皮膚炎は薬でしっかりマラセチアの増殖と炎症を抑えることも重要ですが、生活習慣の改善も非常に重要となります。

余分な皮脂が分泌されないような野菜を中心とした脂っこい食事は避け、肌を清潔に保ち乾燥を防ぐお手入れをするとよいでしょう。

また、脂漏性皮膚炎はストレスが原因で発症することがあります。適度なストレス解消と良質な睡眠の維持を心がけましょう。

脂漏性皮膚炎のためのスキンケア

脂漏性皮膚炎は一旦症状がよくなっても再発しやすいのが特徴です。
再発を予防するためには上で述べたような日常生活の改善を心がけるとともに適切なスキンケアを行っていく必要があります。

具体的なおススメ法としては、なによりも余分な皮脂の分泌を抑えるために保湿ケアを徹底することです。もちろん、余分な皮脂をしっかり洗い流すよう丁寧な洗顔をすることも大切ですが、洗顔後は皮膚が乾燥しやすく、乾燥すると皮脂の分泌がアップしてしまいます。入浴後や洗顔後は保湿効果の高い化粧水、乳液などでケアをしましょう

また、洗顔時には毛穴に詰まった皮脂を洗い流すよう、よく泡立てた石鹸でやさしく顔を撫でるように泡をなじませるようにしてください。

おわりに:脂漏性皮膚炎を治すには、薬だけでなく生活習慣の改善も大切

脂漏性皮膚炎は、適切な治療を施せば短期間で回復する傾向があります。しかし、再発も多く病院ごとで治療方法が多少異なるところもあるようです。医師と相談しながら、自分にあった治療を選択肢するようにしましょう。

また、脂漏性皮膚炎は生活習慣の影響も大きいです。予防や悪化防止のために、生活習慣を見直すようにしてください。

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