記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/8 記事改定日: 2019/4/15
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
急性細菌性前立腺炎とは、大腸菌などの細菌が前立腺に感染して起こる病気です。38℃から40℃の発熱が起こることもあるため、重篤な症状の場合は入院治療が必要になることもあります。
この記事では急性細菌性前立腺炎について解説しています。
前立腺は男性のみにある、膀胱の下部で尿道を取り囲むように位置している臓器です。ここに細菌などが感染して炎症を起こす病気を前立腺炎といいます。前立腺炎は、一般的には急性細菌性のものと慢性細菌性に分けられます。
急性細菌性前立腺炎は細菌が原因で起こる急性の症状を持つ前立腺炎で、20歳代から60歳代までと幅広い年代の人が発症します。
急性細菌性前立腺炎になると前立腺が腫れて全く排尿できなくなることもあるため、早期の治療が必要です。
急性細菌性前立腺炎は、前立腺に体外から細菌が入り感染を起こすことで発症します。
ほとんどは細菌が精液の通路を逆行して前立腺まで達して炎症を起こすことが原因とされていて、原因菌は大腸菌などのグラム陰性桿菌が主であり、これらは人間の便の中に普段から存在しています。
また、近年はクラミジアや淋病などの感染がきっかけになるケースも増えているようです。これらの細菌が何らかの原因で前立腺まで届いてしまうと急性細菌性前立腺炎を発病します。
しかし、原因菌や感染経路がはっきりしないことも多く、尿道カテーテルを入れる操作や前立腺の組織をとる検査などのときに外部の細菌が前立腺に届いて発症することがあります。
急性細菌性前立腺炎になると炎症による発熱が起こり38℃~40℃の高熱になることもあります。
また前立腺が大きく腫れることで痛みが出て排尿がしにくくなり、通常通りに排尿できないことで尿が残っている感じのする残尿感を感じたり、尿の回数が増える頻尿の症状が起こります。
排尿することが腫れている前立腺に刺激になり排尿時の痛みが出現します。
急性細菌性前立腺炎を発症した人の多くは膀胱炎も併発するので膀胱炎の症状も同時に現れ、前立腺の腫れが大きくなり尿の通り道を完全に塞いでしまうと尿が全く出なくなる(尿閉)こともあります。
尿が出なくてお腹の下の部位が膨らんだり、膨れた感覚が出てきた場合は、すぐに尿を体外に出す必要があります。
急性細菌性前立腺炎の治療は原因となっている細菌に対しての抗生物質の投与が中心になります。
まずは炎症を起こしている細菌を確定して、その細菌に効果のある抗菌薬を点滴投与します。高熱や前立腺の強い炎症が出ていることが多いため入院して絶対安静の状態で治療を行うこともあるでしょう。
高熱で苦痛が強く眠れないという場合には、解熱剤を使用して熱を下げます。尿が全く出なくなったり、出すことが難しい時には尿道にカテーテルを入れて膀胱内の尿が体外に排出します。
ただし、前立腺の腫れがひどいと尿道カテーテルが入らないことがあるので、そのような時には膀胱に穴をあけ管をとおして膀胱内の尿が出るようにします。
通常は1週間程度で病状が快方に向かいます。
急性前立腺炎はしっかりと治療をして治しきらないと、前立腺の炎症が慢性化して再発を繰り返すことがあります。特に、長時間に及ぶ運転やデスクワークなど座位の姿勢を続けたとき、夏場の長時間の運動など陰嚢周囲が蒸れやすくなるとき、ストレスや疲れが溜まったときなどに再発しやすいのが特徴です。
再発を防ぐためには、医師の指示に従って適切な治療を継続し、治った後も下腹部が蒸れやすい体勢や服装は避け、生活習慣を整えるようにしましょう。
急性細菌性前立腺炎は、高熱が現れ、尿がうまく出なくなるなどの症状が現れます。炎症症状が強く、高熱が出ている場合は入院治療が必要になることもあります。重症化しないうちに治療を始めるためにも、尿の出が悪いと感じた段階で医師に診てもらうようにしましょう。また、近年はクラミジアなどの性病感染がきっかけになることも多いので、十分気をつけてください。