中枢性尿崩症(CDI)の症状とは?何が原因で発症するの?

2017/12/8 記事改定日: 2019/3/7
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

中枢性尿崩症(CDI)は、体の水分が尿として大量に排出されてしまう病気です。重度になると脱水を引き起こし、ショック状態に陥ることもあります。この記事では、中枢性尿崩症の症状や原因や治療についての基礎知識を紹介していきます。

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中枢性尿崩症の主な症状について

中枢性尿崩症とは、体内の水分を尿で大量に体外に排出してしまう病気です。脳下垂体の後葉から分泌される抗利尿ホルモンの分泌量が減ったり、分泌されなくなってしまうことで発症します。

通常であれば、腎臓内で水の再吸収を促す働きを持っている抗利尿ホルモンが、体内に必要な水分量をコントロールしています。ところが中枢性尿崩症になると、抗利尿ホルモンが不足して腎臓内で水の再吸収がうまく促されず、体内の水分が大量の尿となって出ていってしまうのです。そのため、体内が常に水分不足の状態になります。

中枢性尿崩症になると、まず極度の多尿になります。
水分を摂っても摂らなくても、24時間昼夜を問わずに尿が出るようになり、尿量は成人で1日10リットル以上になる場合もあります。排出される尿は黄色くならず、水のような透明もしくは薄い色になります。

さらに、体内が常に水分不足の状態になってしまうため常に激しい喉の渇きを感じるようになります。そのまま水分が補給できない状態が続くと脱水症状になり、ショック症状を起こしてしまうこともあります。昼夜を問わずに排尿と水分補給を繰り返すため、体力が著しく消耗してしまうことも特徴です。
上記のほか、倦怠感、食欲不振、微熱などが起こるケースもあります。

中枢性尿崩症を引き起こす原因は?

脳腫瘍や外傷などが原因で、脳の視床下部や脳下垂体に障害が発生し発症するケース(続発性CDI)が最も多く、患者全体の80%を占めます。下垂体炎や下垂体の手術後にみられることもあります。
原因不明とされる特発性CDIが全体の20%弱、遺伝により発症する家族性CDI が約1~2%となります。

中枢性尿崩症はどうやって治療するの?

治療は、不足する抗利尿ホルモンを補充する薬を用いて行われ、デスモプレシンの経口剤やデスモプレシンの点鼻薬としてなどが使われます。
経口剤のメリットとしては、薬の効果が安定していることに加えて、水なしで簡単に飲めることや常温保存ができること、外出時の携帯が便利な点が挙げられます。ただ、微妙な薬剤量の調節はできません。

一方点鼻薬は、点鼻回数によって微妙な薬剤量の調節が可能です。ただし鼻炎の際には効果が不安定になってしまうこと、また点鼻用チューブの操作が難しかったり、チューブの洗浄が必要だったりと少し手間がかかることがデメリットとなります。
これらの薬を用いれば、中枢性尿崩症であっても通常に近い日常生活を送ることが可能です。ただ、現状では完治を目的とする薬はありません。

水分の摂取量の調整は必要?

中枢性尿崩症は基本的に水分制限を行う必要はありません。しかし、薬物療法を行っている場合は、過度な水分摂取を行うと、体内に過剰な水分が貯留して倦怠感や頭痛、吐き気などの症状が引き起こされる「水中毒」を発症することがあります。
特に治療を開始した直後は意識的に水分量を抑えるようにし、薬を使用する眠前の水分補給は控えるようにしましょう。

おわりに:症状を抑えることで日常生活は問題なく過ごせる。医師の管理のもとしっかり治療を続けよう

中枢性尿崩症は、24時間多尿と多飲が発生してしまう病気ですが、症状を抑えることで問題なく日常生活を送ることが可能です。発症してしまった場合には、薬による治療をしっかりと続けていくことが大切です。

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