記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/13 記事改定日: 2019/1/21
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
肺がんの発症には喫煙習慣が大きく関連しているといわれますが、果たしてこれは本当なのでしょうか。また、非喫煙者の人が受動喫煙をしてしまった場合でも、肺がんリスクは上がるのでしょうか。
この記事では、タバコと肺がんの関係性について解説していきます。
肺がんはがんの中でも死亡率が高く、初期症状が分かりにくく自覚しにくいという特徴があります。肺がんが見つかったときにはかなり進行しているケースも少なくありません。
また、肺は体内のさまざまな器官とつながりがあるため転移しやすいという特徴があり、とくに骨や脳への転移が多いといわれています。
肺がんは細胞の形態によって、「腺がん」「扁平上皮がん」「その他の肺がん」に分けることができます。
喫煙をしている人の肺がんの発症率は、喫煙していない人に比べて男女ともに4倍ほど高くなります。また、肺がんの男性患者の約7割、女性患者の約2割が、発症原因は喫煙によるものというデータがあります。
「腺がん」や「その他の肺がんの中の大細胞がん」は、肺の奥に発症するがんなので喫煙習慣との関連が少ないとされていますが、「扁平上皮がん」や「その他の肺がんの中の小細胞がん」は、肺の中でも太い気管支に発症するがんのため、喫煙習慣が発症に大きく影響すると考えられています。
ただ、「腺がん」の発症が喫煙との関連が少ないといっても、喫煙していない人と比べるとがん発症率は高いことは変わりありません。
つまり種類に関わらず、タバコは肺がんの発症に影響しているといえるでしょう。
タバコの煙には多くの有害物質が含まれており、特にPAHやニトロソアミン類などの物質は細胞の遺伝子を傷つけてがんの発症を促すことが分かっています。
タバコの煙を吸い込むことで、これらの有害物質が肺の中に入りこむため、喫煙者は肺がんを発症するリスクが高くなるとされています。また、自身が喫煙しない場合でも周囲の喫煙者からの煙を吸い込むことでも肺がんを発症するリスクが高まりますので、「受動喫煙」には注意が必要です。
喫煙をしている人の中でも、タバコを吸い始めてからの年数が長ければ長いほど、また一日にタバコを吸う本数が多ければ多いほど、肺がん発症率は上がります。
タバコを吸い始めてからの年数に対して、1日にタバコを吸う本数をかけた数値を喫煙指数といいますが、この喫煙指数が高ければ高いほど、喫煙しない人に比べてがん発症率が急激に上がることが分かっています。
なお、禁煙した場合には、年数を重ねるごとにがん発症率が下がっていき、禁煙期間が20年以上過ぎると、タバコを吸わない人と同じ発症率になるといわれています。
肺がんリスクを下げるためにも、できるだけ早く禁煙を始めたほうがいいでしょう。
タバコを吸っている人は、吸わない人に比べてがん発症率が4倍ほど高くなりますが、タバコを吸わない人でも受動喫煙の機会がある人は肺がんのリスクが上がります。
受動喫煙は肺がんリスクが上がるだけでなく、高血圧のリスクを高めるともいわれています。血圧が高い状態が続けば心臓や血管に大きな負担がかかってしまうことになるので、心疾患や血管の病気(脳梗塞や動脈硬化など)のリスクも上がってしまいます。
その他にも受動喫煙は臓器や認知機能、精神にまで影響を及ぼすなど、さまざまな健康被害が懸念されます。
タバコを吸わない人が受動喫煙をしないように気をつけることはもちろんですが、タバコを吸う人は周囲の人に受動喫煙させないようにするためにも、喫煙マナーを守りましょう。
喫煙は、自身の健康を害するだけでなく、周囲の人へも「受動喫煙」によって健康被害を及ぼします。
受動喫煙を防ぐには、禁煙することがもっとも有効ですが、なかなか禁煙できない人は喫煙マナーを守って周囲への健康被害を予防するようにしましょう。
喫煙マナーとしては、以下のような対策が勧められています。
統計の数値からみても、喫煙者は非喫煙者と比べて肺がんの発症率は非常に高いということがわかっています。
喫煙は喫煙者本人のリスクだけでなく、周囲の人のリスクも高めてしまいます。喫煙するときは「喫煙マナー」を守り、できるだけ早く禁煙を始めましょう。
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