脂質異常症(高脂血症)の食事の注意点。コンビニ食でも大丈夫?

2018/2/1 記事改定日: 2018/10/24
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

脂質異常症(高脂血症)とは、血液中のコレステロール値や中性脂肪値が基準値よりも高い状態のことです。
この記事では、脂質異常症の人が食事のときに注意することを詳しく解説しています。忙しい人ほど怠りがちなので、この機会にコツを身につけておきましょう。

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脂質異常症を治すには食事の見直しが大切!

脂質異常症(高脂血症)は、血液中の脂質が通常よりも多いか、または少ない状態になっていることです。脂質異常症になる原因は、食生活の乱れや過度のアルコール摂取、喫煙などといわれています。

脂質異常症の治療は食生活の改善と運動療法が基本です。そのため、まずは生活習慣を見直すことも同時に行っていかなくてはいけません。肥満がある場合は、厳しい減量が必要になることもあります。

食事の注意点

LDLコレステロール値が高い場合は、動物性の脂肪に含まれる飽和脂肪酸の摂取量を減らし、植物性脂肪である不飽和脂肪酸を多く摂るようにしましょう。ただし、不飽和脂肪酸だからといって過剰に摂っていいわけではありません。コレステロールは適量を守るようにしてください。また、あわせて食物繊維を豊富に含む野菜なども同時に食べるようにしましょう。
中性脂肪値が高い人は、糖質やアルコールを控え、カロリー数を管理するようにしてください。

摂取カロリーの目安

脂質異常症の人は、適切な食生活を心がける必要がありますが、特に一日の摂取カロリーをオーバーすると体脂肪が増えて脂質異常症の悪化につながります。適切なカロリーを維持するようにしましょう。

適正カロリーはその人の体格や運動量によって異なりますが、「標準体重(kg)×25~30(kcal/kg)」が目安となります。標準体重とは、身長(m)×身長(m)×22で定義されますので、自分がどれくらいの摂取カロリーに抑えればよいのか計算し、食生活に注意するようにしましょう。

運動

脂質異常症を治すには、食べ物だけに注意するのではなく、適度な運動を取り入れることも忘れてはいけません。
少し息が切れる程度のウォーキングなどの有酸素運動は、中性脂肪の減少とHDLコレステロール(善玉コレステロール)の増加に役立ちます。

ただし、心臓や腎臓、関節など、何らかの持病を持っている人は必ず医師に確認してから始めるようにしてください。

脂質異常症の人は、食事のときにどんな食材を選ぶべき?

脂質異常症の人は、コレステロールや脂質の排出を促す食材を積極的に摂るようにしましょう。
コレステロールの排出を促す食材として代表的なものは、食物繊維が多い野菜類や豆類、海藻類です。また、穀類は白米よりも玄米の方が多くの食物繊維を含みます。

また、調理の際に使用する油では、α-リノレン酸を多く含むえごま油やシソ油がおすすめです。同じく油分となりますが、さばやさんま、いわしなどに含まれるEPAやDHAなどもLDLコレステロールを減らす働きがありますので、主菜はこれらの青魚をメインにするとよいでしょう。

コンビニで買うときは、どんなものがおすすめ?

脂質異常症の人で、忙しくて自炊できない人は便秘なコンビニ食で済ませることも多いでしょう。しかし、コンビニ食には高カロリー、高脂質なメニューも多くありますので選ぶ商品には注意するようにしましょう。

脂質異常症の人がコンビニ食を買うときには、なるべく揚げ物が入っていない幕の内弁当やおそば、うどんなどを選ぶようにし、主食だけでなくサラダや無糖ヨーグルトなどのデザートを一緒に摂ることも大切です。
思わぬ商品が高カロリーのこともあるので、選ぶときにはカロリーや原材料なども確認するとよいですね。

合併症を防ぐためには、薬が必要なことも

脂質異常症で血液中のコレステロールが高い状態が続くと、血液がどろどろになり、血管の壁に脂質が付着して動脈硬化が進んでいきます。
動脈硬化になると血管が狭くなり、血管が詰まりやすくなります。そのため、心筋梗塞や脳梗塞など命の危険がある重篤な病気を合併する恐れがあるため、薬での治療が必要になることがあります。

脂質異常症の薬物治療は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪を下げることを目的に行われ、主に以下の薬が使われています。

HMG-CoA還元酵素阻害剤
HMG-CoA還元酵素阻害剤は、HMG-CoAという酵素の働きを抑制することで、LDLコレステロールが作られる量を減らす薬
陰イオン交換樹脂薬
陰イオン交換樹脂薬は、腸で胆汁酸を吸着して、腸から再び吸収されるのを抑え、食事で摂ったコレステロールの吸収量を抑制する薬
フィブラート系薬
フィブラート系の薬は中性脂肪(トリグリセライド)を分解する酵素の働きを高めてその合成を阻害して中性脂肪を低下させる薬。

薬は必ず医師の指示通り服用し、自己判断で薬の量を変えたり薬を止めたりてはいけません。

おわりに:脂質異常症は食品選びが重要。カロリー量や脂質摂取量の管理を徹底しよう

脂質異常症は、血液中に悪玉コレステロール(LDLコレステロール)や中性脂肪が過剰に増えてしまうことです。脂質異常症の人は、生活習慣を見直し、コレステロールや中性脂肪の過剰摂取を控え、適度な運動を取り入れ、肥満解消を目指すことは数値改善の第一歩になります。
忙しくてコンビニ食が多いという人も、カロリー量をチェックしながら適したものを選ぶようにしてください。

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