多汗症

2017/3/16

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

概要

熱い、運動する、ストレスを感じたときはだれでも汗をかきますが、何のきっかけもなく過度の発汗している状態を、多汗症(たかんしょう)といいます。

症状

多汗症がある場合は、からだ全体(主に手、足、脇の下、顔面および性器の領域)で汗をかくことがあります。服は汗で湿り、肌は白くなったりしわができたり赤みを帯びて刺激されることがあります。

ときに汗は臭いを伴い「体臭」を引き起こします。社会的な状況で、ほとんどの人は汗と体臭を自覚しているために人に触れたり、握手したり、腕を上げて何かを手に入れることを恐れ、仕事や学校に行くことまで恥ずかしいと思っています。多汗症に苦しんでいても、恥かしいという気持ちから助けを求めません。

しかし多汗症は、社会的隔離、うつ病、不安を引き起こす可能性があります。さらに、それは深刻な病気の徴候となる可能性もあります。以下のようなの場合は医師にご相談ください。

・普通よりもずっと汗をかいているようです
・発汗には運動や暑い時期などの原因はありません
・胸の痛み、発熱、息切れ、または動悸
・無意識に体重を減らしている
・発汗は、ほとんどが夜に起こるか、夜に悪化する

原因

原因を特定することは、通常、非常に困難ですが、多汗症は次の2つにわけられます。

1.原発性多汗症(限局性多汗症とも呼ばれる)は、家族内で遺伝するともいわれ、幼児期に始まり、起床時に発生します。

2.二次性多汗症は、身体の広い領域にわたり、昼間と夜間の両方で起こます。一般にいう多汗症は「二次的多汗症」をさし、以下の要因で発症します。

・不安
・ホルモンの変化(閉経など)
・血糖コントロール
・過活動甲状腺
・心臓病
・がん
・特定の感染症またはその他の病気
・カフェイン
・アスピリン、血圧降下薬、抗うつ薬などの特定の医薬品

予防

多汗症に対処するには以下の方法があります。

・抗菌石けん
・肌やからだをよく乾かす
・靴を履く前には完全に乾かし、2日続けて同じ靴を履かない
・綿の靴下や靴下を着用し、必要に応じて履き替える
・速乾性の衣類を着用する
・脇パッド
・替えのシャツや靴下をもつ
・洗濯した衣服は完全に乾燥させる
・腕の下などの毛を剃る
・特定の食品や飲み物(カフェイン、スパイシーな食品、アルコール)が発汗を悪化させるようであれば避ける
・ヨガや瞑想などのリラクゼーション

治療

多汗症のコントロールに役立つ以下の治療法があります。

・制汗剤
・処方薬
・イオン浸透療法(イオントフォレーシス)
・ボツリヌス注射

また、多汗症が重篤でほかの治療法ない場合は、手術が選択肢かもしれません。汗腺を活性化させる神経を除去または切断しますが、その後新たな発汗を発症したり、または発汗を悪化させたりする「代償性発汗」が起こることがあり、手術はまた神経および動脈損傷の危険性を伴います。

医師に質問するための事項

・多汗症の原因は何ですか?
・汗をかいているのか恥ずかしいです。処方箋で発汗抑制薬が役立つでしょうか?
・最良の治療法は何ですか?薬を飲む必要がありますか?
・生活を変える必要がありますか?
・症状は緩和することができますか?
・多汗症はより深刻な病気の徴候ですか?
・多汗症に検査は必要ですか?

この記事に含まれるキーワード

多汗症(9) 原発性多汗症(4) 二次性多汗症(1) イオン浸透療法(1) ボツリヌス注射(2)