記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
鼻茸(はなたけ)とは、鼻ポリープともいわれる鼻の穴の中にできる腫瘤(しゅりゅう:コブ、もりあがりのこと)です。初期の頃は外から見えないことが多いので、周囲の人から気づかれることはあまりありませんが、本人は呼吸がしにくくなるため、日常生活に大きな支障がでることがあります。この記事では、鼻茸の手術について解説しています。
鼻茸とは、鼻の穴(鼻腔)の表面にできる膨らみ(腫瘤)のことで、「鼻ポリープ」と呼ばれることもあります。
人の頭蓋骨の内部は、鼻腔と繋がった奥に空洞になっているところがあり、この空洞を「副鼻腔」といいます。
そして、副鼻腔の粘膜が炎症を起こして、長い間治らない状態になると、中に膿が溜まって膨らんできます。この膨らみが鼻茸です。まるで粘膜に生えたキノコのように見えるので、そう名付けられたといわれています。
できはじめの鼻茸は鼻の奥にあるので、外からは見えませんが、その膨らみが大きくなってくると、鼻の穴を埋めるようにして現れてきます。鼻の穴を覗いたら外から見えるほど鼻茸が大きくなれば、鼻づまりが最初の自覚症状として感じられます。
さらに鼻茸が進行すると、嗅覚が鈍くなったり、呼吸困難のために集中力が落ちたり、だるくて憂鬱な気分が続いたりもします。見た目以上に、日常生活に影響を及ぼす深刻な症状となる可能性があるため軽視できません。
鼻茸の原因は様々ですが、副鼻腔の粘膜で細菌が増殖することが原因で起こる耳鼻咽喉系の病気の「合併症」であることが多いと考えられています。
例えば、気管支喘息(喘息)や慢性副鼻腔炎(蓄膿症)、アレルギー性鼻炎などの合併症として現れます。この中でも、副鼻腔炎が原因のものが多いようです。
鼻茸の治療法としては、大きく分けて「薬物療法」と「外科的手術」に分かれます。
薬物療法は、鼻茸の症状が軽い場合に行います。細菌の繁殖を抑えて、粘膜の炎症を改善させる点鼻薬を、患部に直接噴射する方法が一般的です。
症状が進行している鼻茸の場合は薬物療法での効果が期待できないので、手術で鼻茸の状態になっている副鼻腔の粘膜を直接取り除くことになります。
まず局所麻酔をかけて、高周波やレーザー波を照射する専用の器械、あるいは内視鏡などを使って、鼻茸となっている患部を除去します。手術にかかる時間は通常、1時間程度となります。
ただし、膨らんだ部分だけを除去しても再発する可能性がありますので、細菌が繁殖していそうな粘膜の周辺部分まで一緒に取り除きます。再発してしまうと再手術になる可能性もあるため鼻茸の除去手術は豊富な経験が必要とされています。
麻酔が切れると痛みが出ますが、手術後に麻酔を含ませたガーゼを鼻腔に詰めたり、痛み止めを飲んだりすることで、痛みが治まります。軽い鼻血が出ることもありますが、ティッシュなどの圧迫で止血可能です。ただし、喉に血が降りてくる場合は担当医に連絡し、その後の対応の指示を仰いでください。
また、再発がないかの確認のため、手術後に経過観察が必要になります。
鼻茸ができると、日常生活へも影響を及ぼします。これは鼻呼吸が息苦しくなることで、集中力が途切れやすく、気分が落ち込みやすくなるなどの症状が出てくるからです。鼻茸の除去手術は1時間前後で終わり、手術自体それほど負担にはなりません。ただし、鼻茸は再発しやすいので、手術後も定期的な検診で経過観察を行う必要があります。必ず医師の指示通り通院を続けましょう。