記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/27 記事改定日: 2018/6/14
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
サルコイドーシスとは、体中の臓器に肉芽腫ができる病気です。この病気の治療はステロイド剤や免疫抑制剤での治療が中心になります。
この記事ではサルコイドーシスの治療について詳しく解説しています。予後や治療開始のタイミングについても説明しているので参考にしてください。
サルコイドーシスとは、肉芽腫が全身のさまざまな臓器にできる病気であり、人間しかかからない病気です。
サルコイドーシスは、自然に治ることが多いため、症状が軽い場合には自然的な改善を期待して経過を見ることもありますが、強い症状が出ている場合や病状が進行してきた場合には積極的な治療を行います。
上記で説明したようにサルコイドーシスは自然に治ることが多いため、軽度な病変のみがある場合には特に治療を行わずに経過観察となることが多いです。しかし、心臓や肺、目などに強い症状が現れ、重い後遺症が残る可能性がある場合や日常生活に支障が出ているような場合には、ステロイド剤や免疫抑制剤を用いた薬物療法が行われます。
また、特に心臓に病変がある場合には不整脈が引き起こされることがありますので、抗不整脈薬などが使用され、目に病変がある場合にはぶどう膜炎を併発することがあるのでステロイドの点眼薬などが使用されます。
このように、サルコイドーシスは全身に病変が生じる可能性があるため、病変がある部位に特化した様々な診療科で治療を進める必要があり、治療期間も一般的な病気よりも長くなることがほとんどです。
眼にサルコイドーシスができた場合は、適切な治療を行えば視力の予後は良く、重大な合併症を起こすことは少ないとされています。炎症を抑えるための副腎皮質ステロイド剤の点眼や虹彩の癒着を防ぐための散瞳薬の点眼で治療が行われます。
また、眼の底に炎症が強く見られる場合や硝子体のにごりが強い場合はステロイドを内服します。ステロイドの内服は効果が得られやすいですが、3〜6ヶ月ほど治療を継続させることが必要で、薬の量を減らすと再発する可能性があります。
他に硝子体の濁りが極度に強い場合などは硝子体の手術を行うこともあります。白内障や緑内障の合併症を生じた場合にはそれに対しての治療も必要です。
目以外の全身症状で大きな障害は少ないですが、慢性的な病気なので、心臓や脳神経に肉芽腫ができた場合には生命に危険が及ぶこともあります。治療後も年に数回は全身の検査を行うことが必要です。
ステロイドや免疫抑制剤の副作用が強いからと治療を受けることに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、医師が治療が必要だと伝えてきた場合は、なるべく早めに治療を開始することをおすすめします。
とくに、上記でも説明したように心臓に病変があるときは必ず治療が必要です。また病変ができたところが肺であった場合は症状が出にくいケースもあるようです。その場合は経過観察をしながら治療が必要かどうかを判断していくことになるでしょう。
ただし、妊娠を希望している場合には男女ともに主治医に相談し、治療のタイミングを検討しましょう。
サルコイドーシスは、自然治癒することも多いため、発症しても経過観察になることも少なくありません。しかし、心臓病変がある場合は必ず治療が必要であり、眼にサルコイドーシスがある場合は、白内障などの合併症に発展する危険もあります。医師から治療が必要と説明された場合は、早期に治療が受けることをおすすめします。