記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/10 記事改定日: 2019/2/22
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
高尿酸血症とは、体内の尿酸の量が増えすぎている状態のことです。病気が原因のこともありますが、ほとんどが生活習慣、とくに食生活の乱れからくるといわれています。この記事では、高尿酸血症の治療について解説しています。
薬による治療と生活習慣の改善による治療を紹介していくので、参考にしてください。
高尿酸血症は、体内にある尿酸の総量が高くなりすぎることで起こります。私たちの体内では常に尿酸が作られていますが、尿などによって排出することで一定量以上たまらないようになっています。
尿酸値が高くなるのは、排泄量は正常だが産生量が多い「尿酸産生過剰型」、産生量は正常でも排泄量が少ない「尿酸排泄低下型」、産生量が多く排泄量が少ない「混合型」に分けられます。
尿酸の産生が過剰になる要因は
があります。
また尿酸の排泄が減少する要因として、飲酒、激しい運動、肥満、腎臓の病気、遺伝、利尿剤や抗結核剤などの一部の薬剤の影響などが挙げられます。
つまり、尿酸の産生過剰、排出減少ともに、食事や飲酒、肥満など生活習慣の乱れが大きく関わっていると考えられるでしょう。
暴飲暴食は尿酸値を大きく上げる要因であり、尿酸値が高い人は太っていることが多い傾向にあるといわれています。尿酸値を下げていくには、まず食生活の改善が必要といえるでしょう。
食生活の改善で重要とされているのが、総カロリー量を抑えることです。食べ過ぎはやめて、腹八分目を心がけましょう。満腹感が得られやすいように、早食いはやめて、よく噛んでゆっくり食べるようにしてください。
プリン体が多い食べ物は尿酸値を上げるため摂取量はできるだけ減らしたほうがいいですが、食べ物から体内に入るプリン体は全体の20%程度とされています。
鶏レバー、マイワシの干物、あん肝など。豚レバー、牛レバーなどはプリン体が多めなので控えるように心がける必要はありますが、あまり神経質にならなりすぎないようにしましょう。
また、尿が酸性に傾いていると尿酸が溶けず、尿路結石ができやすくなります。尿をアルカリ性にする効果のある食べ物を積極的に摂るようにしましょう。
尿をアルカリ性にしてくれるといわれているのは、ひじき、わかめ、昆布などの海藻類、大豆などの豆類、ほうれんそう、ごぼう、にんじん、キャベツ、大根などの野菜や、バナナ、メロンなどの果物です。
肉や魚、精製した白米などは尿を酸性にするといわれているので、なるべく野菜や果物を摂りましょう。
その他、飲酒も控えめにすることが大切です。プリン体と聞くとビールだけに注意すればいいと思われるかもしれませんが、アルコール自体に尿酸の生成を促し、排泄を低下させる働きがあります。尿酸値を上げない飲酒量の目安はビールなら500ml、日本酒やワインなら180ml、焼酎(25度)なら120ml、ウイスキーやブランデーなら60mlとされています。飲み過ぎないように注意し、週2回は休肝日を設けるようにしましょう。
高尿酸血症の原因は、プリン体の過剰摂取です。尿酸値を下げるには、プリン体を摂りすぎない食生活を心がけましょう。ここでは、高尿酸血症を改善するためのレシピを3つご紹介します。
尿酸の排出を促すには、体内をアルカリ性にすることが大切です。海藻や野菜たっぷりのおなべを楽しみながら高尿酸血症対策も行いましょう。
鍋に昆布を入れてよく煮込んで出汁をとり、わかめ、あく抜きしたほうれん草、ごぼうなどを適当な大きさに切って、ポン酢に浸したら完成です。
物足りない場合は、少量のお豆腐や鶏肉を投入するのもおすすめです。
比較的プリン体の少ない鶏むね肉に、身体をアルカリ性にするヨーグルトを加えて満足感の高いメインメニューに挑戦してみましょう。
鶏肉は適当な大きさに切り、無糖ヨーグルト、すりおろしにんにく・生姜、カレー粉を混ぜ合わせたものに投入します。半日ほど冷蔵庫内でしっかり漬け込み、フライパンでこんがりするまで焼けば完成です。
食事制限中でもデザートは楽しみたいという人におすすめのレシピです。プリン体の少ない豆乳を使用して、高尿酸血症でも安心して楽しめるデザートを試してみましょう。
鍋に豆乳を入れて軽く煮立たせ、あらかじめふやかしておいたゼラチンを加えます。そこに、お好みに合わせてはちみつやごまなどを投入して味を整え、プリン型に入れて冷蔵庫で冷やせば完成です。
食生活を改善するとともに適度な運動を行うことも大切です。運動することは肥満解消につながり、尿酸値が正常の範囲に戻る効果が期待できます。
ただし、激しい運動は逆に尿酸値を高くしてしまう場合があるので、ゆっくり無理のない範囲で有酸素運動を取り入れましょう。まずはエスカレーターやエレベーターではなく階段を使う、目的地の人駅手前で降りて歩くなどから始め、慣れてきたらウォーキングやサイクリングなどに移行するなど、徐々に運動レベルを上げるようにしてください。
食事や運動などの生活習慣を見直しても尿酸値が下がらない場合や、痛風発作を起こしたことがある場合は薬による治療を行います。
薬物療法を行う目安は
となっています。
尿酸を下げる薬には、尿酸の生成を抑える「尿酸生成抑制薬」と、排出を促す「尿酸排出促進薬」があります。どちらの薬を使うかは、医師の判断によります。
薬で尿酸値を急に下げると、関節に蓄積された尿酸の結晶が一気に溶けて痛風発作が起こることがあるので、自己判断で薬の量を増やすようなことは絶対にしないでください。医師の指示に従い正しく服用し、時間をかけて徐々に下げることが大切です。
高尿酸血症は生活習慣の乱れが大きな要因になります。尿酸値が高いことを指摘されたら、まずは食生活や運動習慣を見直し、改善を心がけましょう。また、肥満は高尿酸血症だけでなく、他の生活習慣病にもつながります。尿酸値が高くない場合でも、肥満の改善は日ごろから心がけておきましょう。