記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
腰椎分離症とは、椎骨を構成する椎体と椎弓の連結部分が疲労骨折してしまうことです。スポーツ障害として発症することも多く、復帰のためにはリハビリが重要といわれています。この記事では腰椎分離症のリハビリについて解説しています。
腰椎分離症は腰椎の後方に位置する上関節突起と下関節突起の間にある関節突起間部に対して繰り返し曲げ伸ばしや、捻じれといった負荷が加わることによって疲労骨折が引き起こされるものです。
スポーツを行う成長期に特に多く見られ、例えばバレーボールやバスケットボールなど腰を反る動作や、野球やサッカーなど腰を捻じる動作を多く伴うスポーツで引き起こされやすい傾向にあります。
運動時の腰痛が主症状であり、特に腰を反ったり捻じったりした際に痛みが強くあらわれることが特徴といわれています。また、腰椎分離症の初期には持続した強い腰痛が見られることが多く、場合によっては神経を圧迫するなど腰椎椎間板ヘルニアに似た症状が見られることがあります。
このように腰椎分離症は強い腰痛をともなうため、動作の制限に繋がる可能性があります。
しかし、この痛みに対して安易にコルセットで固定し続けるような治療はおすすめできません。もちろん急性期には安静や固定が必要になりますが、腰椎分離症は成長期に多く見られることから、長期間運動休止や制限をしてしまうと筋力や体力の低下だけでなく、活動意欲の低下から生活の質まで低下させてしまう可能性があります。
したがって、症状や状態に合わせながらではありますが、リハビリテーションをうまく取り入れながら身体機能の改善を図り、できるだけ早期に日常生活やスポーツが行うことができるようにしていくことが重要になってきます。この点をふまえた上で、痛みの評価をしながら脊柱や股関節の可動域を広げていき、体幹深部を鍛えていくことを目的としたリハビリテーションを行っていくことをおすすめします。
腰椎分離症におけるリハビリテーションの目的のひとつは、脊柱や股関節の可動域を広げて腰部への負担を減らしていくことです。
脊柱の可動域を広げる方法として、例えば床に四つ這いになり猫が伸びをするように背中を反らしながら、臀部を後方に引いていく方法があります。
股関節の可動域を広げる方法としては、片脚を前に出して立ち膝を曲げ、もう片方の脚を後方へ伸ばす方法があります。
これらのリハビリは、痛みが出ないようにゆっくりと行うことが重要です。最初はどの程度行えばいいかわからないかと思いますので、医師や理学療法士の指導のもと行うようにしましょう。
体幹深部を鍛えるリハビリテーションの目的は、体幹深部の筋肉を鍛えることで骨盤や脊柱の安定性を確保して腰部への負担の軽減し、症状悪化を予防することです。
体幹深部を鍛える方法として、
・床に四つん這いになり片手を前方に伸ばしながら、同時に反対側の脚を後方へ伸ばす
(このとき背中はあまり反らさず、視線は斜め前方を見るようにするように注意)
・腕を肩幅を目安に広げて両肘を曲げて地面につけ、腕立て伏せのような体勢になり背中が水平になるように姿勢を保持する
などがあります。なお、体幹深部をさらに鍛えたい場合には、床に不安定なクッションを敷くことで難易度は上がるので、調整していきましょう。
腰椎分離症の急性期は、強い痛みが起こるので安静が必要です。急性期を過ぎても痛みが残ることも少なくありませんが、安易にコルセットなどで固定して運動制限や動作制限をしてしまうと、筋力低下につながり日常生活やスポーツへの復帰が遅れてしまう可能性があります。
リハビリは適切なタイミングで適切なメニューを行うことが重要になってくるので、医師や理学療法士の指導のもと正しい方法で行っていきましょう。