記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/10 記事改定日: 2020/9/28
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
新生児マススクリーニングとは先天代謝異常症等検査とも呼ばれ、新生児を対象にした検査です。赤ちゃんに内分泌疾患や代謝異常など生まれつきの病気がないかを調べます。この記事では、新生児マススクリーニングの検査内容や対象疾患について説明しています。
新生児マススクリーニングとは、生後4~6日目のすべての新生児を対象に、先天性(生まれつき)の病気を発見するために行われる検査です。先天性代謝異常等検査とも呼ばれます。
生まれつき体内での代謝がうまくいかず、体の中に不都合なものが蓄積したり、必要なものがつくられずに不足したりするために、何らかの症状が出る病気のことです。このような病気は放置すると、心身の発達に障害を起こしてしまいます。
新生児が生まれてすぐに検査を行い早期に病気を見つけて治療することによって、知能障害や発達障害を予防したり、また重い症状が出ないように注意して日常生活を送ることができるのです。
対象疾患は大きく分けて、内分泌疾患(ホルモンの異常)の2疾患と、代謝異常症(栄養素の利用障害)の17疾患です。また、この19疾患以外の疾患が見つかる場合もあります.
2018年度からはさらに1疾患を追加して、20種類の疾患が対象となり、合わせて27疾患が対象となります。タンデム質量分析計という機械の導入により、より多くの疾患が検査できるようになりました。
先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)、先天性副腎過形成症
ガラクトース血症、アミノ酸代謝異常症(フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症など)、有機酸代謝異常症(メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症など)、脂肪酸代謝異常症(中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(MCAD)、極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(VLCAD)など)
生後4~6日目の新生児のかかとから、ごく少量の血液を検査用のろ紙にしみ込ませ、専門の検査機関に送り検査します。
検査結果に異常がない場合は、通常、1カ月検診の際に説明が行われます。異常が疑われ、再検査や精密検査が必要な場合には、1カ月検診を待たずに個別に連絡が入ります。
新生児マススクリーニング検査は、上述した通り生後4~6日目に行われる検査であり、通常は出産した医療機関で行われます。
日本では1977年から全ての赤ちゃんを対象に行われており、検査費用自体はお住いの自治体の全額負担となりますが、採血の手技料などは保護者の負担となる医療機関もあるため、費用については出産する医療機関に問い合わせておきましょう。
再検査とは、最初の検査で確実に正常と判断できない場合に、念のためもう一度検査することです。再検査は、100人にひとり程度の割合で行われます。初回あるいは再検査の結果、病気の疑いがある場合には、精密検査が行われることになります。
精密検査は、専門の小児科医療機関で、病気かどうかを正確に診断するために行われるものです。ただし、精密検査を受けた新生児がすべて病気であるというわけではなく、再検査の結果正常と診断される場合もあります。精密検査の結果もし本当に病気であることがわかれば、その病気にあわせた適切な治療が必要です。
新生児マススクリーニングは、新生児のほぼ全員が受けている検査です。生まれつきの病気を早期に発見することで、障害の予防や適切な治療が可能となります。出産した病院で、必ず受けるようにしましょう。