記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/12
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
膀胱結石とは尿路結石のひとつであり、膀胱に結石というシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムでできた石(塊)ができる病気です。膀胱の中にあるうちは症状がでないことが大半ですが、尿道に移動すると激しい痛みが現れます。この記事では、膀胱結石をはじめとする尿路結石の治療法について解説していきます。
尿路結石とは、腎臓など、尿の生成と排泄に関連する器官に、シュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムの成分の塊ができる症状の総称です。
腎臓と膀胱、この両者をつなぐ尿管、さらに膀胱から生殖器を通じて尿を排泄するための尿道、これらをひっくるめて「尿路」といいます。
腎臓から尿道まで、この尿路のどこかに尿の成分の塊ができることを「尿路結石」と呼ぶのです。尿路結石には、以下の種類があります。
・腎臓結石(腎杯結石・腎盂結石)
・尿管結石
・膀胱結石
・尿道結石
通常の流れとしては、腎臓にできた結石が、日々生成される尿の流れに押されて、徐々に大きくなりながら下りていき、尿管→膀胱→尿道を通っていきます。最終的に尿道口から出てくることもあります。
そして、膀胱結石は、尿管から下りてきた結石が、尿道へ移動せず、膀胱にとどまっている状態をいいます。また、感染症や前立腺肥大などが原因で膀胱の中に尿がとどまってしまい、膀胱内で結石ができることもあります。
膀胱結石にかかると、下腹部に違和感をおぼえたり、尿が出にくくなったり、あるいは突然止まったり、尿に濁りや血が混じったりすることがあります。
尿路結石は、腎臓でできた時点では痛みを感じないことがほとんどですが、細い尿管へ結石が入り込むと、腹部に激痛が走って自覚することがあります。尿管から膀胱へ結石が落ちると、また痛みが引くことが多いです。そして、さらに膀胱から尿道へ結石が進むと、今度は生殖器のあたりに激痛をおぼえる場合があります。
腎臓内に結石ができた時点では、前述の通り、痛みなどの自覚症状がないことがほとんどですが、腎臓の機能が低下し、血尿が出ることがあります。尿を排泄していて、いつもと違う感じがあり、おかしいなと思ったら、早めに医師に相談するように心がけましょう。尿路結石は再発しやすい病気ですが、早期発見すればそれだけ早く症状を抑えることができます。
薬物療法は、痛みを抑えるための鎮痛剤や、排尿によって結石排出を促すための薬物や点滴を組み合わせながら行います。5ミリ以下の小さめの結石ならば、自力で尿と一緒に排出できる可能性があるからです。
結石の自然排泄が難しいようなら、次の段階である「結石を砕く治療」に進みます。
まず、結石の位置を確認した上で、身体の外から衝撃波エネルギーを当てて、結石を砕く体外衝撃波砕石術(ESWL)があります。比較的安全な治療法ですが、副作用として血尿が伴うことが多いです。
2つめに、尿管に詰まった結石を取り除く方法として、尿道を経由して「尿管鏡」と呼ばれる内視鏡を尿管へ挿入し、石を砕いたり撤去したりする経尿道的尿管砕石術(TUL)もあります。ただしTULは麻酔をかけるので、身体にある程度の負担があります。
3つめに、大きめの腎臓結石を取り除く方法として、腎臓に内視鏡を通して結石を砕いたり撤去したりする経皮的腎砕石術(PNL)があります。もともとは内視鏡が通る幅のない組織へ内視鏡を通すので、身体の負担は大きくなります。またPNLには、麻酔による影響や、大量出血のリスクがあります。
尿路結石は、尿を作って排泄するまでの流れに関連する腎臓・尿管、膀胱、尿道のどこかに、シュウ酸カルシウムなどの塊ができる症状です。特に尿管結石や尿道結石は、激しい痛みを伴うことがあるものの、尿と一緒に自然と排泄できる可能性があります。結石を自力で排泄できなくても、尿路上での「砕石術」は確立されていますので、痛みがあるときは我慢せず、早めに医師に相談しましょう。