記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/12 記事改定日: 2020/9/9
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
頭のケガのことを指す頭部外傷には、しばらく休めば回復する軽症のものから意識を失う重症のものまであります。この記事では、頭部外傷の応急処置について重症度に分けて紹介していきます。いざというときの参考にしてください。
頭部外傷は、外から強い力が加わったことによって、頭部にケガをすることをいいます。頭部の皮膚、頭蓋骨、脳にダメージを与えることがあります。
主に交通事故によって引き起こされやすい外傷ですが、転倒や転落、虐待や暴行などによっても発生します。
頭部外傷であらわれる症状は、軽度と重度によって異なります。
めまいやふらつき、短時間の錯乱や軽い吐き気、脳しんとうなどの症状が現れます。
強い頭痛や意識の消失、眠気、錯乱、興奮、嘔吐やけいれん発作、思考能力や平衡感覚の消失などの症状が出る場合があります。
また、頭蓋骨を骨折している場合には、耳や鼻から透明な髄液や、血液が流れ出てくることもあります。
頭部外傷への応急処置方法は、ケガの重症度によって変わってきます。
以下に頭部外傷への応急処置方法を、3つの段階ごとにご紹介していきます。
意識を失って呼んでも返事が無い、もうろうとしていて会話ができない、けいれんや嘔吐を繰り返している場合は、脳に損傷が出ている可能性が高いです。
この場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
首の骨である頸椎(けいつい)も損傷している可能性があるので、待っている間は不用意に動かさず、顔を横に向けて嘔吐物による窒息を避けるなどの対処をしてください。
まずは、出血しているところにタオルやハンカチを当てて圧迫し、止血を試みます。
すぐに止まれば心配ありませんが、血が流れるほど出血量が多い場合は、ケガの程度が深い可能性もありますので、脳神経外科を受診したほうが良いでしょう。
幼児または老人の大量出血はとくに命にかかわります。ハンカチやタオルに血が滲んでなかなか止まらない場合は、大事を取って救急車を呼んでください。
頭部外傷のなかでも軽症の「頭部打撲」である可能性が高いといえるでしょう。
両手足に麻痺や動作の不自由がなく、首の後ろを触ってみても痛みを感じていないようであれば、ひとまず安静にして3時間程度様子を見てみましょう。
受傷後ある程度時間が経ってから二次損傷による症状がでることもあるので、2~3日は注意して観察する必要があります。
この期間に頭痛や嘔吐がないようであれば、まず心配はないことが多いですが不安なときはでみてもらいましょう。
頭部外傷による損傷は、頭部に受けた外力によって直接的に生じる頭蓋骨骨折や脳挫傷などの一次損傷と受傷後に生じる血腫や虚血、脳浮腫、脳腫脹などの二次損傷に分けられます。
一次損傷による症状は受傷後すぐに症状が現れることがほとんどですが、二次損傷は全身状態、年齢などによって症状の現れ方が異なり、遅れて症状が出ることもあります。
そのため、頭部外傷は受傷後すぐに何の症状がない状態でも、上述したように2~3日は注意深い経過観察が必要となります。
頭部外傷を受けた後は、症状が遅れて出てくることがあります。受傷後2~3日以内に次のような症状が現れたときは早急に病院を受診するようにしましょう。
交通事故や転倒などによって引き起こされやすい頭部外傷は、どんな人にも起こりうる身近なケガです。受傷後の対応が、治療や回復の結果を左右することもあります。頭部外傷への応急処置方法を理解しておき、もしものときに慌てないように備えておきましょう。