副耳(ふくじ)の手術は、いつ受けられるようになる?

2018/1/15 記事改定日: 2019/8/8

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

副耳(ふくじ)は、赤ちゃんの耳や頬などにできるイボのようなできもののことです。発症要因はわかっていませんが、胎内で赤ちゃんの耳が形成されていく過程で発症すると考えられています。
この記事では副耳の手術治療のタイミングについて解説しています。

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副耳(ふくじ)はどんな病気?

副耳とは、耳の穴の前や頰の部分に生まれつきできる、皮膚におおわれたイボ状のできもののことです。1000人の赤ちゃんに15人程度の割合で見られるもので、遺伝性ではありませんが、発症の原因ははっきりとはわかっていません。

お母さんのお腹の中で、赤ちゃんの耳ができる過程で生じるため、耳そのものの病気が併発することもあります

症状の特徴

副耳は片方の耳の前に1個だけできることが多いですが、両方の耳の前にできたり、複数個できたり、首のあたりにできることもあります。大きさもゴマ粒程度のものからダイズ大のものまでまちまちです。

副耳には、皮膚だけがイボ状になっているものと、イボの中に軟骨が含まれているものがあり、これは副耳のイボに耳の軟骨に入り込むことで発症します。

副耳の手術はいつ頃行えば良いの?

副耳の手術を希望する理由のほとんどは見た目の問題によるものです。
副耳の手術のタイミングはとくに急ぐ必要はないとされていて、産婦人科の医師も積極的に形成外科の受診をすすめない傾向があります。
これは副耳単独の発症であれば症状がなく、命に関わるようなことはないからであり、実際に治療をしないままでいる人も多いです。

副耳の治療時期は通常、全身麻酔が受けられる1歳を過ぎてからが推奨されています。ただ、副耳が小さい場合や軟骨が含まれていない副耳であれば、生後すぐに結紮術による治療が可能とされています。

副耳の手術療法の種類は?

治療方法としては、結紮(けっさつ)術と切除術の2種類があります。

結紮術

結紮術は副耳が小さいものや軟骨を含まないものに対して行われます。
出産後早い時期にナイロン糸で副耳の根元を縛って完全に血液の流れを止める施術をすると、イボの細胞が壊死して1~2週間ほどで自然に取れていきます。麻酔は必要なく、生後すぐに受けられます

切除術

軟骨が入り込んでいる副耳の場合は、副耳を切り取る切除術で治療していきます。手術に緊急性はないため、通常は全身麻酔ができる1歳程度まで待ってから行います。

どちらの方法でもわずかな傷あとは残りますが、副耳に比べれば目立たないように仕上がります。

副耳の手術の費用と注意点は?

医療機関によっても異なりますが、副耳の手術をするには全身麻酔で行う場合、手術費用は10~15万円ほどです。そのほか、入院費や検査・注射などに要する費用も必要ですが、健康保険が適応されますので全体の自己負担額は5~8万円程度でしょう
ただし、差額ベッド代などがかかる場合もありますので、費用に関しては事前に医療機関に問い合わせておくと安心です。

手術後は患部が気になってしきりに触ろうとする子もいますが、抜糸まではできるだけ患部に触れないようにしましょう。入浴は患部を覆って濡れないようにすれば差し支えありません。
手術をした方を下にして横になると痛みが増しますので、背中などにタオルやクッションを入れてできるだけ反対側を向いて寝かせるようにしてください。

基本的に抜糸が終了すれば通常の生活ができますが、医療機関によって手術後一定期間は予防接種を控えるよう指示が出る場合もあります。

おわりに:赤ちゃんの副耳の手術のタイミングは、基本的に1歳以降

副耳は命に関わるものではないため、急いで治療を行う必要はありません。

・小さいものであれば結紮術で生後すぐでもできる
・通常は全身麻酔を受けられる1歳過ぎ頃が治療時期(切除術)

が手術のタイミングの目安となっています。

治療後の傷あとは、副耳に比べればほとんど気にならないかたちに仕上がるので、赤ちゃんの副耳の見た目が気になる場合には、一度形成外科に相談してみましょう。

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