記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
依存性人格障害は、他人への依存や自分への無力感常に続いていることを言います。依存性人格障害のような人格障害(パーソナル障害)は、早期発見と早期対処が非常に重要になってきます。依存性人格障害の症状を紹介していくので、チェックのために役立ててください。
「依存性人格障害(依存性パーソナリティ障害)」とは、「自己の無力感」と「他者への依存」を特徴とする障害です。圧倒的に女性に多い障害で、他者からの保護がなければ生きられないと思い込み、誰かに面倒をみてほしいという欲求が異常に強く、「見捨てられ不安」から従属的でしがみつくような行動にでます。
極端に周囲に同調したり、自分を不当なまでに低めて相手に合わせようとしたり、ささいなことでも自分で決められず他の誰かに決めてもらい責任をとってもらおうとします。子供や高齢者、病気などではないにもかかわらず常にこうした欲求を持ち、そのことから生活や精神状態に支障が出ている場合に依存性人格障害と診断されます。無意識に強いストレスを抱え不安障害やうつ状態に陥りやすく、他の人格障害につながることもあります。
社会で他人とのトラブルにはならないため表面化しにくい障害ですが、こうした「内面に隠し持った依存心の高さと外面のギャップからおこる精神的苦痛」を持つ人は少なくないといわれています。
この傾向が強い人には、自分の選択を信じられず常に決断を他者に頼ってしまう、1人でいると強烈な寂しさや不安がつきまとう、SNSなどで誰かとつながっていないと耐えられない、常に誰かに気にかけてもらいたがる、自分の主張ができず何か言った後には強く不安になる、といった特徴があります。
これらはある程度は多くの人が抱える不安ですが、いつもこの状態が続いてしまうと不安障害やうつ状態を引き起こすきっかけになります。また、自分を価値の低い無力な存在とし常に相手の顔をうかがう生活は、DV(ドメスティック・バイオレンス:家庭内暴力)やさまざまなモラルハラスメントを増長させてしまうことにもつながります。
実際に医師が参考にする国際的な診断基準として、世界保健機関(WHO)によるICD-10とアメリカ精神医学会によるDSM-5があります。ここではWHOの診断基準を紹介します。以下のような特徴があれば、障害の可能性が高いといえるでしょう。
① 他人に自分の重要な生活上の決定の大部分をしてもらうことを促したり、受け入れたりする
②自分の欲求を自分が依存している他人の欲求に従属させること、および他人の意思に過度に従うこと
③ 自分が依存している人には、たとえ正当なことであっても要求したがらないこと
④自分のことが1人でできないという過度の恐れのため、1人でいると不安や無力感を感じること
⑤ 親密な関係をもっている人から見捨てられたり、自分のことを1人でしなければならなかったりすることへの恐れにとらわれること
⑥他人からの過剰な助言や保証がなければ、日常生活で決断する能力に限界があること
これらはあくまで基準であり目安になります。自己判断は間違った対処につながる恐れがあるので、必ず専門医に相談しましょう。
依存性人格障害は、「自分を苦しくさせる生き方」です。しかし障害は見えにくく、「隠れ依存」も多いといわれています。診断基準でのセルフチェックで気になるところがあれば、自分を取り戻すために早めに専門家に相談しましょう。