記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
女性化乳房とは、男性の胸部が女性の乳房のように膨らんでくることをいいます。女性化乳腺症とも呼ばれ、真性と偽性に分けられます。この記事では真性女性化乳房の手術について詳しく解説しています。
女性化乳房とは、男性であるにもかかわらず、胸がふっくらと膨らむ現象をいいます。
この女性化乳房には「真性」と「偽性」の2種類があります。
真性女性化乳房は、膨らんだ胸の内部で乳腺が発達している男性の乳房をいいます。別名で「女性化乳腺症」ともいいます。
偽性女性化乳房は、たとえば、体脂肪の付いた力士の胸が垂れてふくらんで見えるように、乳腺の発達は伴わないけれども、男性の胸部が乳房のように垂れている状態をいいます(「仮性女性化乳房」と呼ぶ場合もあります)。
女性化乳房は、男性の胸で乳腺が発達し、皮下脂肪も分厚くなる現象です。
男性が真性女性化乳房となるきっかけは、肝機能の低下によって男性ホルモンの濃度が下がったり、女性ホルモン濃度が上昇したりすることによって起きるとされます。これは女性ホルモンは、肝臓で処理されるからです。
思春期の男子の胸に女性化乳房ができることもあります。これは第二次成長期で男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが崩れやすいために起こります。通常は1~2年も経てば、特別な治療をしなくても自然消失します。思春期男子の女性化乳房は、片側だけできるケースが多く、乳首のあたりに良性のしこりを感じることもあるといわれています。
また、AGA治療薬の中には、女性ホルモンに類似した成分が入っているものがあるため、AGA薬を使用し続けていると女性化乳房の症状が出ることもあります。
ただし、原因不明で起きる女性化乳房も少なくありません。このような原因不明のものを「突発的女性化乳房」と呼びます。
一方、偽性女性化乳房では、皮下脂肪の多い体型により、女性の乳房のような膨らみができる症状です。原因はズバリ、肥満ですが、偽性と真性の混合型の女性化乳房もあるので安易に自己判断するのは危険です。
女性化乳房は基本的に一時的な症状なのですが、元に戻らないこともあります。戻らなくても特にとりたてて症状はありませんが、男性にとっては身体の外観としての恥ずかしさや嫌悪感もあるでしょう。
皮下の乳腺が発達した真性女性化乳房では、乳腺を手術で取り除いて治療します。
偽性女性化乳房の場合は、原因が肥満ですので、ダイエットをするか脂肪吸引によって治療します。
真性女性化乳房の手術では、まず発達した乳腺を切除します。ただ、女性化乳房の9割ほどは脂肪のため、脂肪吸引も合わせて行うことが多いといわれています。乳房が大きい場合は、乳腺と脂肪の除去後、皮膚のたるみが生じることがありますので、余った皮膚の切除も行って、胸を平らに戻します。
手術後、1カ月ほど腫れが続きますが、やがて元に戻ります。乳腺さえ切除すれば、再発のおそれはまずありません。むしろ、手術をせずに放置すると女性化乳房がどんどん成長していくことになりますので、早めの受診をおすすめします。
女性化乳房は、「真性」と「偽性(仮性)」の2つのタイプがあります。違いは、男性の胸部の乳腺が発達しているかどうかです。特に真性女性化乳房にかかった男性にとっては、恥ずかしかったり、現実を認めたくなかったりして、医師の診察を受けずに放置している人もいるようです。手術でほぼ再発を防げますので、悩みを引きずるより一度勇気を出して病院で相談してみてはいかがでしょうか。