記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/20 記事改定日: 2020/7/10
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
パーキンソン病とは、脳の異常によって運動機能に支障が起こる病気です。症状のひとつに姿勢反射障害がありますが、その症状の特徴や原因、対処法はどのようなものでしょう。初期症状としてもみられる姿勢反射障害のリハビリテーション(運動療法)について解説していきます。
パーキンソン病は、脳から全身の筋肉へ運動の指令を送るために必要な、ドーパミンという神経伝達物質が減少する疾病です。体にギクシャクした感覚が生じて、日常動作や歩行が困難になります。姿勢反射障害とは、パーキンソン病の「四大徴候」と呼ばれる主要な症状のひとつです。
このうち、姿勢反射障害は、起立したとき、上半身が前かがみに傾き、ひじ・ひざも軽く曲がる姿勢になることを指します。
パーキンソン病の重症度を5段階に分類した「ホーン・ヤールの分類」によれば、姿勢反射障害が現れるとステージ3とされているため、比較的進行したパーキンソン病患者にみられる症状といえます。
ホーン・ヤールの分類とはパーキンソン病の重症度を5つの段階に分類したものです。
具体的には、次のような分類になります。
パーキンソン病の姿勢反射障害によって、特徴的な前屈姿勢が生じます。前屈姿勢のせいで、下記のような日常生活に様々な支障が生じることがあります。
さらに、日常生活の中で介助を受ける機会が増えてくると自力でできることが少なくなり、自分の行動が縛られているような感覚を覚えてしまうことがあります。
そのような状態に陥ると、自尊心が低下し、精神面にも不具合が生じてしまうおそれがあるのです。また、かえって介助に甘えてしまい、ひとりでやれることをする自主自立の生活から遠ざかってしまうこともあります。
そこで、パーキンソン患者が、できるだけ介助を受けずに自分自身の力で生活できるようになるための「リハビリテーション(運動療法)」が重要となります。
パーキンソン病での姿勢反射障害などの症状からの回復に向けて、具体的には次のような有効な運動療法があります。
あおむけ状態で身体をひねったり、寝た姿勢から座る姿勢、座った姿勢から立つ姿勢への移行など、日常生活に必要な基本動作を取り戻すことを目指します。
立ちながら、あるいは座った状態で、身体をゆっくりと前後に曲げ伸ばし、左右にひねったりします。
寝ながらうつ伏せの姿勢を取ったり、壁などに沿って背のばしの姿勢を取ったりします。立つことができる場合は、つま先立ちや片足立ちなどの練習をして、バランスよく立てる練習をします。
リズムに乗って声を出しながら、その場で足踏みをし、歩く感覚を少しずつ取り戻します。前傾姿勢が治りにくい場合は、歩行器などの補助器具を押して歩く練習をします。歩き出すときは、手の振りを大きくし、身体をひねるようにして、できるだけ歩幅を大きく取ると、前傾姿勢が改善されることがあります。
病気のために日常動作が難しくなると、心理的にも後ろ向きになって塞ぎ込みがちになりますので、パーキンソン病を発症したときは、リハビリで日常動作を取り戻し、QOLの向上を目指しましょう。