記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
甲状腺疾患とは、甲状腺に何らかの異常が起こり様々な症状が現れる病気です。甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、結節性甲状腺腫などの種類がありますが、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。この記事の中で詳しく解説していきます。
甲状腺疾患とは、甲状腺の異常や障害によって引き起こされる病気の総称です。甲状腺ホルモンの分泌過剰による甲状腺機能亢進症、分泌不全による甲状腺機能低下症、甲状腺の臓器内に腫瘤ができる結節性甲状腺炎などがあります。結節性甲状腺炎は、さらに急性甲状腺炎、慢性甲状腺炎、単純性甲状腺腫、甲状腺がんなどに分けることができます。
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に合成、分泌されることによって起こります。全身の代謝が異常に高まって活発になりすぎることで、身体のさまざまな部位に症状があらわれます。
首の甲状腺の腫れや、動悸、脈のはやまりや乱れ、全身新陳代謝が上がることで多汗になることもあります。ふるえや筋力低下、下痢、過食、眼球のとびだし、目つきが鋭くなるなどのほか、女性の場合は月経(生理)不順や無月経になることもあります。気持ちが高ぶってイライラしたり、落ち着かず、疲れやすくなるなど心身あらゆるところにさまざまな症状があらわれます。
甲状腺機能亢進症のなかでも、特に多いとされる病気はバセドウ病です。その他、なんらかの原因で甲状腺組織が破壊されてしまい甲状腺に貯めてある甲状腺ホルモンが血中に流れ出る無痛性甲状腺炎、高熱が出て甲状腺部位が痛む亜急性甲状腺炎、ホルモンを分泌する腫瘍が甲状腺にできる甲状腺機能性結節などがあります。
新陳代謝をつかさどる甲状腺ホルモンが低下すると、血液中の甲状腺ホルモンが少なくなり、全身の代謝が異常に低下します。この影響で、物忘れや言語障害が起こったり、全身がむくみ、寒がりになることもあります。そのほか、乾燥、食欲不振、便秘、無気力、眠気などの症状を起こします。女性の場合は月経不順や無月経を引き起こすこともあります。甲状腺に慢性的な炎症のある橋本病が主ですが、とくに治療の必要がないこともあります。
甲状腺腫瘤ができますが、甲状腺の機能には影響しないことが多く、体調や精神状態に影響がでることは少ないです。しかし、良性と悪性があります。良性は、甲状腺濾胞腺腫と、腫瘤が多く発生する腺腫様甲状腺腫と、甲状腺ホルモンを分泌する甲状腺機能性結節があります。悪性は、乳頭がん、濾胞がん、悪性リンパ腫などのほか、6種類に分けられます。
この記事の中で紹介してきたように、甲状腺疾患には様々な種類があります。甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症で症状が大きく違いがあり、亢進症も低下症も原因別で治療方法が変わってきます。はっきり症状が現れない場合もあり、更年期障害と勘違いして放置してしまうケースも少なくありません。少しでも不安な症状がある場合は、病院を受診し、医師の指示に従って治療を続けていきましょう。