記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ランナー膝とは、腸脛靱帯炎とも呼ばれるランナーに多く見られるスポーツ障害です。この記事では、ランナー膝の発症と再発を予防するための対策について解説しています。スポーツをする人や膝が痛い人は参考にしてください。
ランニングによる膝関節周辺のスポーツ障害の総称で、さまざな病態が含まれるのがランナー膝です。狭義には、腸脛靱帯が膝部外側で摩擦し、疼痛が発生する腸脛靱帯炎のことをいいます。これは、ランニングによる膝の障害の代表疾患です。膝の屈伸運動を繰り返すことで腸脛靱帯が大腿骨と擦れることで炎症を起こし、痛みが発生します。マラソンなどの長距離ランナーは起こしやすく、ほかにもバスケットボールや水泳、自転車、エアロビクス、バレエなどのスポーツを行う人に発生しやすいものです。
ランナー膝には、大腿骨外顆周辺に圧迫するような痛みがあります。腸脛靱帯は緊張が増し、靭帯の走行によって疼痛が放散します。初期の段階では、ランニング後に痛みが発生しますが休むと痛みはなくなります。ランニングを続けていると痛みが増し、休んでいる間も簡単には消えなくなり、膝を90度屈曲して外顆部で腸脛靱帯を抑えて膝を伸ばしていくと、痛みを感じるなどの症状が出ます。
治療は、原則保存療法から始めていきます。急性期が過ぎるまでは、ランニングを休止し安静を保ち、必要に応じてアイシングを行います。ある程度痛みが治まってきたら、再発予防のために膝の安定性を高めるためのストレッチとトレーニングを行い、その後必ずアイシングを行います。
痛みに対して消炎鎮痛剤を投与したり、超音波などの物理療法も合わせて行います。痛みがひどくなるまで進行すると簡単には治らないので、発症初期の段階で適切に休養を取り、治療を行うことが大切です。
スポーツでの怪我を予防するためには、自分の身体を過信せず、念入りに準備運動やストレッチを行うことが大切です。発症予防や再発予防のために、膝のトレーニングの他に足首のトレーニングを取り入れることをおすすめします。
足首を持ち上げるとスネ前面を鍛えられます。この部分の筋肉が衰えてしまうと、ランニングフォームが乱れる原因となったり、路上の段差などでつまづきやすくなったりします。スポーツ店で販売しているゴムチューブなどでトレーニングを行いましょう。
トレーニングは焦らずじっくりと継続していくことが重要です。また、痛みを感じた段階で無理せず休息をとり、安静を保つようにしましょう。
ランナー膝は、痛みがそれほど強くない初期の段階で治療を始めることが再発を繰り返さないための対策になります。治療は安静とアイシングが基本です。痛みをがまんしてトレーニングを続けることがないようにしてください。
また、再発防止には膝と足首の安定性が重要です。本格的に復帰する前に、必ず強化トレーニングをしておきましょう。