記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
二日酔いとは、お酒を飲みすぎてしまい、悪酔いの症状が明け方以降も続くことをいいます。民間療法を含めて様々な二日酔い解消法がありますが、ツボ押しや漢方薬で解消することはできるのでしょうか。二日酔いの原因も含めて詳しく解説していきます。
二日酔いとは、過度の飲酒により、翌日まで頭痛やめまい、吐き気など、気分の悪い状態が続くことをいいます。
二日酔いになると、頭痛、吐き気や嘔吐、体のほてり、のどの渇きなどの不快な症状を感じます。また、アルコールが体内に残っている場合は、酩酊感やふらつき、ろれつが回らないなど、一般的な酒酔い症状が残ることもあります
アルコールを一度に多量摂取すると、悪心、頭痛、吐き気といった「悪酔い」が生じます。これは、肝臓でアルコールを分解する量よりも、アルコールを摂取する量のほうが多いことが原因です。通常アルコールは、肝臓で毒性の強いアセトアルデヒドに、さらにアセトアルデヒドは酢酸に変えられ、最終的に炭酸ガスと水に分解され排出されます。しかし肝臓の処理能力を超えた飲酒を続けると、有害なアセトアルデヒドの状態のまま、血流に乗って全身をめぐるため「悪酔い」が継続し、「二日酔い」を起こしてしまうのです。
しかし近年の研究では、二日酔いの症状はアセトアルデヒドの血中濃度が低下してから発生すると考えられています。その他にも、ホルモン分泌による説や、体液が酸性になる説、お酒の不純物説などが指摘されていて、現在も原因究明が進められています。
二日酔い対策としては、次の2種類のツボが効果的といわれています。
両乳頭の真下と肋骨が交わる「右の」期門は、二日酔いをすばやく解消するツボと考えられています。飲む前に刺激することで、二日酔いや悪酔いの予防としても効果が期待できるといわれています。
両方の手のひら中央、やや手首寄りにある健理三針区は、肝臓の働きを活性化し、アルコールの分解を促すツボといわれています。親指で強く押しもむか、つまようじを数本輪ゴムで束ねて、「健理三針区」がほんのり赤くなるまで軽くつつくように刺激しましょう。
東洋医学では、二日酔いは自分の能力を超えて水分を摂取したため、体の中に余分な「水(津:すい)」が残ることで起こると考えられています。余分な「水(津:すい)」は全身機能をさまたげることもあり、頭痛やだるさなどを引き起こします。
漢方では、飲み過ぎたときなどの吐き気のある急性胃腸炎や頭痛、むくみに対し、余分な「水(津:すい)」を体の外に出す処方を用います。
一般的に二日酔いの解消に効果があるとされる漢方薬「五苓散(ごれいさん)」は、利尿作用のある生薬が配合されており、組織中や消化器官中の水分を尿として体外に排泄するのを助け、二日酔いを改善していくと考えられています。さらに、体を温め血行を良くすることで、頭痛やめまい改善の効果が期待できるといわれています。
二日酔いの予防策としては、お酒の吸収をゆっくりにしたり、ウコン(クルクミンという成分が入っています)などのサプリメントをとる、などなど様々な対策が巷では推奨されていますが、医学的には確立したものはあまり多くありません。何よりお酒の量を調節することが大切です。
二日酔いについては原因の解明が進むと共に、対策として、ツボや漢方薬による治療も効果が期待されるといわれています。しかし確実に解消できる方法があるわけではないので、事後対策ではなく、まずは予防策をしっかり講じましょう。