記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
2018/2/1
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
子供の歯(乳歯)が自然に抜けると、永久歯が生えてきます。もし乳歯が抜けたあとになかなか永久歯が生えてこないときは、どのように対処すればいいのでしょうか。この記事では、乳歯が抜けたあとに永久歯が生えてこなかったときの対処法について解説しています。
永久歯は、6歳頃から生え始め、13歳頃には、親知らずを除いてすべて生え揃うのが一般的です。しかし歯が生え変わる時期はかなり個人差があり、平均で±7~14か月の開きがあるといわれています。
乳歯が抜けたのに、なかなか永久歯が顔を出てこないと、周囲としては心配になってしまうでしょう。しかし、大抵は乳歯の抜けるペースと永久歯の育つペースがアンバランスであることなどが原因であり、乳歯が通常より早く抜けたり、永久歯が生えてくるのが遅かったりするだけであれば、大半は自然と生えてくるでしょう。乳歯が抜けてから半年程度は様子をみてもかまわないといわれています。
ただし場合によっては、歯科医での治療が必要になるケースもあります。例えば、歯茎が分厚すぎて永久歯がなかなか生えてこられないケースや、永久歯が生えてくるのに何か邪魔なものが存在しているケースです。上記でも述べたように、様子を見るのは半年が目安になります。半年過ぎても永久歯が生えてこないときは、すぐに歯科医に相談し、状態を確認しましょう。
歯茎が厚すぎて永久歯がなかなか生えてこない場合には、レーザーで歯肉を焼いて、歯茎に永久歯が出てきやすいよう穴を開ける処置が有効といいわれています。麻酔を使用するので一般的にはそれほど痛みを伴うわけではありませんが、麻酔が切れた後で歯茎に腫れや痛みが生じることがあります。
一方、永久歯が生えてくるのを阻害されている場合は、本来不要な歯(過剰歯)や埋伏歯が原因となっているケースが多いといわれています。埋伏歯とは、永久歯があごの骨や歯茎の中で止まってしまい、出てこられなくなった状態のことで、上あごの犬歯に多くみられます。
過剰歯の場合は歯茎を切開して摘出します。
埋伏歯の場合は、歯茎が硬くて永久歯が出てこられないものは歯茎を切開し、埋まっている歯の頭を露出させます。また、永久歯があごの骨の中で止まったまま動いていない場合は、矯正装置をつけて埋伏歯を引き上げます。さらに必要であれば歯並びを整える矯正治療も行います。
永久歯がなかなか生えてこない場合でも、多くのケースでは経過観察するうちに自然と解決するといわれています。しかし、症状によっては歯科医での処置が必要なケースもあります。半年くらい異常が続くようなら歯科医に相談し、適切な治療を施してもらいましょう。