肩関節周囲炎(五十肩)の痛みの緩和に効果的と言われる薬剤とは?

2018/2/9

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

肩関節周囲炎とはいわゆる五十肩のことで、突然肩関節に痛みが出て動かしにくくなる症状です。肩関節周囲炎の痛みを和らげるために、どのような薬を使うとよいのでしょうか。この記事で、おおまかな治療の流れを解説します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

肩関節周囲炎(五十肩)とは?何が原因で発症する?

肩関節周囲炎は中年以降の人が発症しやすく、特に50代で多くみられることから、五十肩という通称で知られています。特に原因がないのに突然肩の痛みを感じますが、肩こりとは異なり、肩関節を動かすことで激痛が走ります。腕を少し上げただけでも痛むため、着替えなどに支障が出たり、髪を束ねたりする動作が特につらくなると言われています。
肩関節周囲炎は、肩関節を構成している骨や軟骨、じん帯や腱などが加齢等によって柔軟性を失い、炎症が生じたために発症すると考えられています。肩関節の動きをよくする肩峰下滑液包という袋や、関節包と呼ばれる関節を包む袋が癒着してしまうことで、さらに動かしにくくなると言われています。

肩関節周囲炎(五十肩)の治療の流れ

肩関節周囲炎の治療は、痛みを和らげるための薬物療法と、痛みが弱まってきたところで行われる運動療法・理学療法に大別されています。強い痛みが出ている時は、肩に負担をかけないよう安静にして、痛み止めとして消炎鎮痛薬が処方されます。痛み止めを注射する場合もあります。
症状が落ち着いてきたら、少しずつ肩を動かしていく運動・理学療法が行われます。あまりに肩を動かさずにいると関節が癒着を起こしてしまい、そのまま肩関節が動かなくなる心配もあるため、運動によってそれを防ぎます。筋肉や腱がこわばらないよう、肩を温めながら無理のない動作で振り子運動などを行っていきます。
薬物療法や運動・理学療法で改善しない場合、関節鏡などの手術が行われることもあります。

痛み止めにはどんな薬剤が使われるの?

肩関節周囲炎による痛みの緩和には、非ステロイド性消炎鎮痛薬が使われます。一般的には錠剤などの経口剤がよく使われており、有効とされています。パップ剤やテープ剤といった外用貼付剤も多く販売され、経口剤に劣らぬ効果を発揮すると言われています。痛みによる心身のダメージが強い場合には、筋弛緩剤や精神安定剤が同時に処方されることもあります。
患部の痛みがひどい場合は、肩峰下滑液包内や肩関節腔内にステロイド剤と局所麻酔剤の混合液を注射したり、肩関節の内部に高分子ヒアルロン酸ナトリウムを注射したりして痛みを緩和する方法もとられます。ヒアルロン酸ナトリウムは滑液にある成分なので副作用の心配がなく、炎症を抑える作用もあると言われています。

痛みが和らいできたら、関節の可動域を広げよう

急性期の激痛が消炎鎮痛薬等によってある程度改善し、症状が快方に向かってきたところで、運動療法や理学療法が行われます。肩関節を動かさずにいると拘縮がひどくなってさらに動かしにくくなるため、それを防ぐために積極的に肩を動かすようにします。肩関節を動かせる範囲を徐々に広げていくことが大切で、無理せず痛みが悪化しないよう、医療機関で指導を受けた正しいやり方で行います。
改善が思わしくない場合は、通院によるリハビリが行われることもあります。リハビリは毎日行って、肩関節の動きを滑らかにしていきます。運動療法と共に保温や血行改善、痛みの除去を図るための温熱・冷熱療法や超音波療法などを取り入れることもあります。

おわりに:肩関節周囲炎の治療には錠剤や外用貼付剤が使われるが、場合によっては注射をすることも

肩関節周囲炎の治療では、錠剤を服用したり、外用貼付剤を患部に貼ったりしますが、痛みがひどいときは高分子ヒアルロン酸ナトリウムなどの注射をすることもあります。痛みが出るからといって肩関節を動かさずにいると、さらに動かしにくくなってしまうので、痛みが落ち着いたら運動やリハビリに積極的に取り組みましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

関連記事

この記事に含まれるキーワード

理学療法(10) 五十肩(10) 薬物療法(38) 運動療法(30) 肩関節周囲炎(7) 非ステロイド性消炎鎮痛薬(2)