記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/31 記事改定日: 2018/6/15
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
寝ているときの「いびき」で、家族に迷惑をかけたり、友人と出かける泊まりの旅行も遠慮しがちになったりで、悩んでいる人もいるのではないでしょうか。この記事では、いびきの改善対策について解説しています。いびきの手術についても説明しているので、参考にしてください。
いびきは、就寝時に意識レベルが低下している際、のどを経由する呼吸の通り道である「気道」などが狭くなるなどして、呼吸がスムーズにいきにくくなり、のどから音が出る症状です。
いびきの原因は、おもに3つあります。
まず、酒の飲み過ぎや喫煙の影響で、気道が狭くなっていることです。アルコールは舌やのどの筋肉を緩めますし、タバコの吸いすぎは、気道に炎症を起こすため、寝ているときの姿勢によっては呼吸しにくくなってしまいます。
また、肥満体型もいびきの原因となります。首周りの脂肪や気道の内側の脂肪、脂肪がついて分厚くなった舌は、気道を狭くする原因になります。また、肥満体型は呼吸の回数や呼吸量が多いので、いびきが大きくなりやすいといわれています。
このような原因は、すぐに改善できるものです。禁煙や禁酒(減酒)、ダイエットに取り組みましょう。
ただし、もともと体質的にいびきをかきやすい人もいます。軟口蓋弓(のどの入口)が変形していたり、口蓋垂(のどちんこ)が大きめの人は、のどの構造上、いびきをかきやすくなります。また、歯並びがよくなかったり、鼻筋が曲がったりしている人も同様です。
このような場合は、特別な対策や治療が必要になる場合があります。
上記で説明したように、いびきが深酒や喫煙によって起きているのであれば、しばらくの間、酒やタバコを控えることによって改善されます。肥満が原因と考えられるならば、ダイエットに励んで、のどに付着した脂肪を落とすことが、いびき改善につながるでしょう。
また、いびきをかきやすい体質が原因であれば、寝るときの姿勢を工夫することで改善することがあります。
また、枕を変えてみてもいいでしょう。後頭部や首の位置を測定して、ちょうどいい高さや硬さで、セミオーダーメイドの枕を調整してくれる寝具店もあります。あおむけに寝る人はやや低め、横向きに寝る人は、やや高めの枕を選ぶと、いびきが改善されやすいと考えられています。
いびきは、自分自身や近くに寝ている家族、パートナーの睡眠不足の原因になりますし、睡眠時無呼吸症候群の症状として出ているいびきの場合は注意が必要です。その他にも、いびきには高血圧や動脈硬化、脳梗塞のリスクが隠れていることもあります。自力での改善が難しそうなら、耳鼻咽喉科などを受診していびきの原因からの改善を目指しましょう。
のどへの「レーザー照射」で気道を確保し、いびきを改善させる手術もあります。口内の状況を内視鏡で確認し、口蓋垂などをレーザーによって切除することで、横になったときも気道が狭くならないように治療する方法もあります。
いびきの多くは、生理的なものであり、深刻な病気が隠されている可能性は低いといえますが、中には睡眠時無呼吸症候群やのどの付近にできたがんなどが原因であることもあります。
また、いびきは長く続くと慢性的な不眠となり、日中の活動性が低下するだけでなく、抑うつ気分などの精神状態の悪化や、心筋梗塞などの深刻な病気の発症リスクを増加する危険もあります。
いびき防止グッズは一時的にいびきを改善する効果はありますが、いびきを根本から解決するものではなく、深刻な病気が隠れている場合にはサインを見逃すことにもなりかねません。このため、長くいびきに悩んでいる場合には一度は病院で検査をしてもらいましょう。
いびきは、寝相や癖の問題として、軽く片付けられがちですが、睡眠時無呼吸症候群などの深刻な病気が隠れている場合があります。
就寝時に突然死する危険性もゼロではありませんし、睡眠が慢性的に不足し、仕事中の集中力が途切れたり、運転中に居眠りしたりして事故を起こすおそれもあるのです。なかなか改善できない場合は、医師にご相談ください。