記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/5
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
鼻中隔湾曲症とは、鼻中隔という軟骨上の組織が曲がってしまい、鼻詰まりなどの症状が現れる病気です。この記事では、鼻中隔湾曲症の原因や症状。治療法について解説しています。
片方だけ鼻が詰まる理由にはネーザルサイクル(鼻サイクル)と病気の2つが考えられます。
ネーザルサイクルとは交代制鼻閉ともいわれ、約8時間周期で左右の鼻のつまりが入れ替わることです。
人間は、自律神経の働きによってどちらか一方の鼻がもう一方の鼻よりも若干つまり気味になっています。
そのため、左右の鼻が交互に詰まるのは異常ではありません。自律神経が正常に作動している、いわば正常な状態です。
病気の場合、考えられる病名は急性副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎が考えられますが、慢性的に常に鼻のつまりに悩まされている場合には鼻中隔湾曲症が疑われます。
鼻中隔湾曲症とは鼻中隔が強く曲がっているために鼻が詰まってしまい、さまざまな症状が出てしまう病気です。
鼻中隔は軟骨の板と骨の板でできており顔の成長とともに発達します。しかし、軟骨の発達は他の骨よりも発達のスピードが速いという性質があります。他の骨の成長が軟骨の成長に追いつかなくなってしまうと、位置をあわせるために鼻中隔が湾曲してしまうと考えられています。
ただし鼻中隔の湾曲自体は湾曲症は赤ちゃんにもみられ、児童で70%、成人で90%の人にあるといわれています。また、成長以外にも骨折や打撲など鼻の外傷を受けることで、鼻中隔が曲がることもあります。つまり、鼻中隔が曲がっているだけでは鼻中隔湾曲症と診断されません。
・常に鼻が詰まっている、
・口呼吸になる
・いびきをかく
・臭いを正常に感じ取れない(嗅覚障害)
・鼻血が出やすくなる
・頭痛が頻繁に起こる
などの症状が発症してはじめて鼻中隔湾曲症と診断されます。
鼻中隔湾曲症の治療は手術が必要となります。手術の方法は主に2種類あります。
・鼻中隔湾曲症矯正手術
鼻中隔湾曲症矯正手術は、鼻中隔湾曲症の基本の手術です。鼻中隔の湾曲した部分の骨を切除して、鼻の通りをスムーズにします。
・粘膜下下鼻甲介骨切除術
粘膜下下鼻甲介骨切除術は、アレルギー性鼻炎など鼻の炎症を併発している場合に行われる手術です。鼻中隔湾曲症矯正手術と併行して行われることが多いといわれています。下鼻甲介の不要な部分を切除していく治療法です。
手術自体は1時間前後で済み、局所麻酔あるいは全身麻酔で行われます。
全身麻酔の場合は1泊2日で入院が必要となることもあります。手術によって鼻の通りがスムーズになるので、いびきを始めとした諸症状の改善が期待できます。ただし、稀にですが手術後の副作用として、出血や鼻中隔の穿孔、鼻がへこむ鞍鼻などとなることもあります。
片方の鼻だけ詰まってしまったり、いびきや口呼吸などの症状出ている場合には鼻中隔湾曲症の疑いがあります。
手術は日帰りでも可能であり、受けるだけで症状の改善も期待できます。鼻つまりやそれに伴う症状でお困りの人は、一度病院を受診し、治療の必要があるか医師に相談しましょう。