記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/26 記事改定日: 2019/3/7
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
垂体腺腫とは、ホルモンの働きをコントロールする下垂体という脳内の器官に腫瘍ができる病気です。この記事では、下垂体腺種の病型別に、その症状を解説します。
下垂体腺腫のひとつである非機能性腺腫の特徴は、ホルモンが通常よりも多く出ることであらわれる症状がないため、患者本人が病気に気付きにくいという点です。
比較的男性に多く発症し、青年期~老年期に多くみられます。
主な症状は、視神経が腫瘍により圧迫されることで起こる視野狭窄です。これは両目の外側の視野が見えなくなる「両耳側半盲」と呼ばれるものです。同時に頭痛を伴うことも多く、下垂体前葉機能不全という症状もあります。
これは、男性の場合は性欲低下や勃起不全、女性では月経不順、無月経、乳汁分泌といった症状があらわれるものです。
20~40代の若い女性に多くみられる下垂体腺腫がプロラクチン産生腺腫です。
この病気は、プロラクチンが過剰に分泌されたために発症する下垂体腺腫です。体内のプロラクチンが増えたため、実際は妊娠していないのに妊娠している時と同じような状態になります。そのため、月経不順や無月経、乳汁分泌といった症状があらわれます。
プロラクチン産生腺腫を発症するのはたいてい女性ですが、中高年の男性が発症することがまれにあります。男性が発症したときは、性欲低下や勃起不全という症状がみられます。
成長ホルモン産生腺腫の場合には、身体的な症状がみられます。代表的な症状として、成長ホルモンが多く分泌されたために体が巨大になってしまうことです。骨の発育途上である成長期に発症すると、体全体が大きくなる巨人症となりますし、骨の成長が終わった段階で発症すると、手足の先などだけが大きくなる先端巨大症という症状があらわれます。
成長ホルモン産生腺腫の場合、病状が進行すると見た目だけでなく、高血圧や糖尿病、心不全など命に関わる病気を併発することがあります。また、がんを発症しやすくなるとも言われています。
副腎皮質刺激ホルモン産生下垂体腺腫は、クッシング病とも呼ばれている病気です。副腎皮質刺激ホルモンが過剰に分泌されるため、肥満になることが特徴です。
若年~中年の女性に多く見られ、顔が丸くなり、手足に比べて胸や腹部が太ってしまいます。そのほか、ニキビができやすくなったり、体毛が濃くなったりします(初期の段階から体毛が濃くなることがあるため、これがきっかけで病院に行く人もいます)。
そのほか、高血圧や糖尿病を発症することもありますし、うつ状態になりやすくなる、といった症状がみられます。また、女性の場合は無月経になることもあります。
下垂体腺腫の中で、最も発生頻度が少ないものが甲状腺刺激ホルモン産生腺腫です。甲状腺ホルモンの測定技術が上がったために、今までは見つけにくかった甲状腺刺激ホルモン産生腺腫が発見されることが増えているようです。
甲状腺刺激ホルモン産生腺腫は非常に珍しいタイプの下垂体腺腫ですが、性別や年齢に関係なく発症する可能性がある病気です。甲状腺の機能が亢進することで起こる症状として、頭痛や急激な体重減少、手のふるえ、動悸、不整脈などがあります。
また、腫瘍が大きい場合が多いため、視神経を圧迫して視力視野障害を起こすことがあります。さらに、成長ホルモンやプロラクチンも産生するため、先端巨大症や無月経、乳汁分泌といったことが起こります。
下垂体腺腫は様々な症状を引き起こしますが、早めに発見するには以下のような症状や身体の変化に注意しましょう。当てはまる項目が多い場合は、脳神経外科や神経内科、内分泌内科などの専門医のいる医療機関を早めに受診することが大切です。
下垂体腺腫の病型は、腫瘍ができた場所によって影響を受けるホルモンが異なります。気になる症状があれば、念のため病院で検査することをおすすめします。