記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2018/8/2
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
角膜炎は、目の黒目に当たる部分に細菌やウイルスなどが侵入して発症するものです。角膜炎になると、目の違和感や充血、まぶたの腫れといった症状がみられます。こうした症状は、どのくらいの期間で治るものなのでしょうか。この記事で解説します。
角膜は目の黒目にあたる部分です。通常は涙で覆われており、水分が角膜を保護する役目を果たして外部からの刺激や病原体の侵入を防いでいます。目にゴミが入ったときに強くこすったときや、コンタクトレンズを使用しているときなどに角膜を傷つけてしまうと、そこから細菌やカビなどによる感染を起こして角膜炎を発症します。角膜炎になると、目がごろごろした感じがして痛みが出る、目が充血する、涙、まぶたが腫れる、黒目が白くなるといった症状が出ます。通常はどちらか一方の目にだけ発症します。
角膜炎を治療せずにいると、角膜潰瘍を起こして病巣が目の内部まで広がる恐れがあります。その結果、黒目が白く濁ったり、視力が低下するという症状が引き起こされます。角膜炎の治療には、感染源となっている病原体に効果のある点眼薬を使いますが、場合によっては内服薬が処方されたり、点滴を行ったりすることもあります。
治療では、原因となっている菌に対して有効な治療薬を使用することが重要です。原因菌が特定できない場合は、治療に数カ月間かかることもあります。
細菌性角膜炎の場合、基本的に抗菌薬を使います。抗生物質の内服や点滴を併用することもあります。真菌性角膜炎の場合には抗真菌薬を使用して、点眼、内服、点滴を組み合わせて治療を行います。治療には最低でも1カ月以上かかります。
治療期間が最も長くなる可能性が高い角膜炎はアカントアメーバ角膜炎です。微生物のアカントアメーバが原因で発症する角膜炎ですが、特効薬が存在しないため、効果が期待できる抗真菌薬や消毒薬を使用したり、角膜の表面を削り取る治療法を行います。しかし、極めて治りにくい種類のため、治療期間が数年に及ぶ可能性があります。
ヘルペス性角膜炎の場合、抗ウイルス薬の眼軟膏や内服薬、点滴を使うと1~2週間で治ることが多いのですが、体調が悪い時に再発する危険があるため注意が必要です。
角膜炎は、軽度のものであれば治るまでにそれほど時間はかかりませんが、重症化したり原因菌によっては治療に時間がかかるものもあります。目に異物が入ったような感じがしたり、目の痛みやまぶしさを感じたりするときは、角膜炎を起こしている可能性があります。発症の可能性がみられたら、早めに眼科を受診をすることが大切です。特に、ドライアイになっている人は涙の分泌が低下しているので、角膜に傷がつきやすくなっています。目にゴミが入ったとき、強くこすりすぎてしまうと角膜に傷がついてしまう可能性があることを覚えておきましょう。
発症を予防するためには、目を傷つけないようにすることが大切です。目にゴミが入った時は、流水で洗い流すか、涙で流れるのを待ちましょう。また、コンタクトレンズを使うときも、目に傷がつかないよう注意してください。
角膜炎の治療期間は、発症の原因となった菌の種類によって異なります。アカントアメーバが原因の角膜炎は治りにくいものですし、ヘルペスウイルスが原因の場合は再発のリスクがあります。また、重症化すると治療が長引いてしまう恐れがあるので、早めに眼科で治療することが大切です。