記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/5 記事改定日: 2018/6/8
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
うつ病は、一度発症すると治療が長期化する傾向があるといわれています。しかし、適切な治療を受けることで改善する可能性は十分あるのです。この記事ではうつ病の治療方法と回復期を過ごすうえでの注意点について解説しています。
うつ病は、回復するまでに時間がかかる場合が多いといわれています。
回復までのプロセスは、大きく「急性期」「回復期」「再発予防期」という3つの段階に分けることができます。
うつ病の診断を受けると、休養を取りながら薬物治療を開始します。1~3ヶ月程度で症状が軽くなることが一般的です。急性期では休養が重要なため、医師の指示に従って休養に専念するようにしましょう。
回復期は、急性期を抜けて、回復に向けて症状が改善していく期間です。うつ病は調子がよい日と悪い日を繰り返しながら、徐々によくなっていきます。焦らずに治療を続けましょう。
また回復期は社会復帰のための準備期間でもあります。生活のリズムを整えたり、昼間の活動量を増やしたり、うつ病になった期間を振り返り、再発を防ぐにはどうしたらよいかを考えたりしてみましょう。
回復期を経て社会復帰をしたとしても、油断は禁物です。うつ病は再発しやすいといわれています。医師の指示に従いながら、再発予防に努めましょう。
うつの回復期は、症状がよくなっているように思われがちですが、何の前触れもなく突然症状をぶり返すことがあります。また、症状をぶり返した場合には、以前よりも症状が悪化していることもあり、突然の強い希死念慮(きしねんりょ:死にたいと強く願い、思いをめぐらすこと)に襲われることもあります。このため、うつ病による自殺はこのような回復期に生じることも少なくないのです。
症状が少し良くなったからといって、無理に職場復帰などはせずゆっくり休むことを大切にしてください。
うつ病の回復期は、症状がほとんどない日と軽度な症状が現れる日が繰り返されるのが特徴です。いわゆる「波がある」状態で、よくなったり、悪くなったりを繰り返します。
こうして徐々に調子のよい日が増えて回復へ向かいますが、回復期の症状は急性期の症状が軽くなったものではなく、まだまだ治療が必要な状態です。
また、回復期に治療を中断したり、職場復帰などの環境を変えることは症状をぶり返し、急性期の状態よりも深刻な症状を引き起こすことがあります。
回復期だからといって安心することなく、しっかりと病気と向き合って適切な治療を続けていくことが何よりも大切なのです。
うつ病は大きく3つの治療法があります。それは、休養と薬物治療と精神療法です。
まず、初めは十分に休養をとるようにします。体と心をしっかり休ませることは、うつ病を治療する上での第一歩です。
抗うつ薬は、うつ病の原因と考えられている、セロトニン、ノルアドレナリンという神経伝達物質に作用し、乱れてしまった脳のバランスを整える働きがあります。
抗うつ薬はその構造によって大きく5つに分類されます。
開発された順に
と並べられ、新しく開発された薬ほど、高い治療効果が期待でき、副作用が少なくなるといわれています。
ただし、新しい薬は経済的な負担が高く、人によっては、昔からある薬の方が効くということもあるため、使われる薬は患者の状態や希望、効果の現れ方によって変わってきます。
うつ病の治療において大切なことは3点あります。
それは
です。
うつ病は治療に時間がかかります。3ヶ月~半年くらいで症状は改善することが多いですが、社会復帰してからも治療の継続が必要になるケースは多いといわれています。
焦ることなく根気よく治療を続けることが大切です。
また、薬を正しく服薬し、自己判断で薬の量を変えてしまったり、中止してしまうことはやめましょう。
そしてうつ病の治療のためには、家族や職場、学校の仲間に協力してもらう必要があります。うつ病を理解してもらい、周囲にサポートしてもらいながら治療に取り組みましょう。
うつ病はしっかりと治療すれば、ある程度回復が見込める病気です。ただし、治療期間が長く、すぐに改善するものでありません。
なかなか社会復帰できず、焦りを感じてしまうこともあると思います。そんなときはうつ病は治ると信じることが大切です。周囲に助けてもらいながら、根気強く治療に取り組みましょう。